判旨
刑法18条に規定される労役場留置は、憲法14条の法の下の平等に反せず、また憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」にも当たらない。
問題の所在(論点)
罰金を完納できない者を労役場に留置することを定める刑法18条は、憲法14条の「法の下の平等」に違反するか。また、同条は憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」に該当するか。
規範
罰金を完納できない者を労役場に留置する制度(刑法18条)は、憲法14条(法の下の平等)および憲法36条(残虐な刑罰の禁止)のいずれにも違反しない。
重要事実
被告人は罰金刑に処せられたが、これを完納できなかった場合に備えて労役場留置の言渡しを受けた。弁護人は、経済的能力の欠如により身体の自由を拘束される労役場留置が、平等権を侵害し、かつ残虐な刑罰に該当し憲法に違反すると主張して上告した。
あてはめ
判決文によれば、刑法18条が経済的理由による差別を定めているとはいえず、憲法14条に違反するものではない。また、労役場留置の態様や性質を考慮しても、人道に反するような苦痛を伴う刑罰とは解されないため、憲法36条の「残虐な刑罰」には当たらない。これらの判断は従来の最高裁判例の趣旨に沿うものである。
結論
刑法18条は憲法14条および36条に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
財産刑の実効性を確保するための代替的手段である労役場留置について、その合憲性を確立した判例である。答案上では、換刑処分が不当な差別や残虐な刑罰に当たらないことを論証する際の根拠として使用する。
事件番号: 昭和36(あ)2081 / 裁判年月日: 昭和36年12月15日 / 結論: 棄却
刑法一八条が憲法一三条、一四条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一八九〇号、同二五年六月七日大法廷判決、刑集四巻六号九五六頁)の趣旨に徴し明らかである。