判旨
盗品(賍物)であることの情を知りながら、自己の運転する運搬船にこれを積み込む行為は、盗品等保管罪(旧:賍物寄蔵罪)を構成する。
問題の所在(論点)
盗品であることを知りながら自己の運転する運搬船に積み込む行為が、刑法256条2項の「保管」(旧:賍物寄蔵)に該当するか。
規範
刑法256条2項の盗品等保管罪(旧:賍物寄蔵罪)が成立するためには、当該物が盗品その他領得罪に当たる罪によって領得された物であることの認識(情を知っていること)に加え、受託に基づいて当該物を自己の占有下に置く行為が認められる必要がある。
重要事実
被告人は、本件における盗品(賍物)である石炭について、それが盗品であることを認識しながら、自己の運転する運搬船に積み込んだ。弁護側は原審の事実認定に相違があるとして法令違反を主張したが、裁判所は被告人が情を知って積み込んだ事実を前提とした。
あてはめ
被告人は、本件石炭が盗品であるという「情を知りながら」、自己が管理・運転する運搬船にこれを「積み込んだ」ものである。この行為は、他人のために盗品を収受して占有を継続する状態を作り出したといえる。したがって、被告人の行為は盗品等保管罪の構成要件を充足すると評価される。
結論
盗品であることを知りながら自己の運搬船に積み込む行為には、盗品等保管罪(賍物寄蔵罪)が成立する。
実務上の射程
本判決は、運搬手段への積み込み行為が直ちに保管(寄蔵)に該当することを示しており、保管の開始時点を判断する際の参考となる。実務上は、運搬の準備段階であっても、自己の管理下にある車両や船舶に盗品を入れた時点で保管罪が成立し得ると解される。
事件番号: 昭和49(あ)1161 / 裁判年月日: 昭和50年6月12日 / 結論: 棄却
賍物であることを知らずに物品の保管を開始した後、賍物であることを知るに至つたのに、なおも本犯のためにその保管を継続するときは、賍物の寄蔵にあたる。
事件番号: 昭和33(あ)2309 / 裁判年月日: 昭和34年7月3日 / 結論: 棄却
刑法第二五六条第二項にいう「寄蔵」とは、委託を受けて本犯のために賍品を保管することをいう。