いやしくも賍物たるの情を知りながら賍物の売買を仲介周旋した事実がある以上、その周旋にかかる賍物の売買が成立しなくとも、賍物牙保罪の成立をさまたげるものでない(昭和二三年一一月九日第三小法廷判決、刑集二巻一二号一五〇四頁、同二六年一月三〇日同小法廷判決、刑集五巻一号一一七頁各参照)。
賍物牙保罪が成立するためには賍物の売買が成立することを要するか。
刑法256条2項
判旨
盗品等牙保罪(刑法256条2項)は、盗品等であることを知りながらその売買を仲介周旋した事実があれば、その周旋に係る売買が成立しなくても成立する。
問題の所在(論点)
盗品等牙保罪(刑法256条2項)の成立にあたり、仲介周旋の対象となった売買契約等の成立が既遂の要件となるか。仲介行為自体で既遂となるか、契約成立が必要かが問題となる。
規範
盗品等牙保罪における「牙保」とは、盗品等の処分のために当事者間に介在して売買等の契約を成立させるようあっせんすることをいう。本罪の成否は、情を知って仲介周旋行為に及んだ時点で判断され、その結果として売買契約が実際に成立したか否かは、既遂の成立に影響しない。
重要事実
被告人は、目的物が盗品等(贓物)であるとの事情を知りながら、その売買を仲介周旋した。しかし、当該周旋によって対象物の売買契約が最終的に成立するまでには至らなかった。
あてはめ
被告人は、対象物が盗品等であることを認識しながら、売買を仲介周旋する行為を行っている。本罪の処罰根拠は、本犯と被害者との間の追求権を困難にする点にある。仲介周旋行為が行われた時点で、盗品等の流通を助長し、追求権の行使を妨げる危険性が現実化している。したがって、仲介にかかる売買契約が不成立に終わったとしても、周旋行為自体が完了している以上、犯罪の成立を妨げないといえる。
結論
盗品等牙保罪が成立する。売買契約の成否は罪の成否を左右しない。
実務上の射程
牙保罪の既遂時期を「周旋行為の完了時」と定義する射程を持つ。答案上は、あっせん行為がなされた事実があれば、契約成立の有無を論じることなく既遂として処理すべきである。契約が成立した場合には追求権の侵害がより深刻になるが、不成立であっても抽象的危険犯的に成立を認めるのが判例の立場である。
事件番号: 昭和26(あ)5146 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品関与罪の成立には、客体が賍物(不法に領得された財物)であることの認識が必要であるが、第一審判決が証拠に基づきその旨を判示している以上、判例違反等の上告理由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が盗品等関与罪に問われた事案において、第一審判決が事実摘示および証拠によって、本件犯罪の目的物が賍…