判旨
原審において弁護人に選任されていない弁護士がなした上告申立ては、上告権限のない者による不適法な申立てであり、棄却を免れない。
問題の所在(論点)
原審(控訴審)において弁護人に選任されていない弁護士が、被告人のために上告を申し立てることができるか。弁護士による上告申立ての適格性が問題となる。
規範
被告人のために上告をすることができるのは、刑事訴訟法に定められた上告権者またはその代理人に限られる。特に、被告人の弁護人として上告を申し立てる場合には、原審(控訴審等)において適法に弁護人として選任されている必要がある。原審で弁護人としての資格を有しない者がなした上告の申立ては、上告の権限なき者のなした不適法なものとして、同法414条、385条により棄却される。
重要事実
被告人A、B、Cについて、弁護士2名がその原審弁護人として上告申立書を提出した。しかし、当該弁護士らは、原審において被告人らの弁護人に選任された事実がなかった。また、その他の被告人についても、定められた期間内に上告趣意書の提出がなされなかった。
あてはめ
本件において、上告を申し立てた弁護士らは原審で適法に選任されていなかった。刑事訴訟法上、上告権を行使し得る弁護人は、有効な選任関係を前提とする。したがって、本件弁護士らによる申立ては、法令上の権限に基づかない「上告の権限なき者のなした」行為であると評価される。また、期間内に上告趣意書が提出されなかった被告人らについても、刑訴法上の提出義務を怠った不適法な上告であるといえる。
結論
本件上告は、権限のない者による申立て、および趣意書未提出のため、いずれも不適法であり、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における弁護人の代理権の発生時期・範囲を画する事例である。実務上、上告申立てを行う際には、原審での選任の有無を確認し、権限を証する書面の備えに注意を払うべき指針となる。
事件番号: 昭和60(あ)1496 / 裁判年月日: 平成元年1月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件各上告を棄却する。 第1 事案の概要:弁護人が、原判決に対し違憲および判例違反を理由として上告を申し立てた事案であるが、その主張内容は実質的にみて、単なる法令違反や事実誤認の主張に留まるものであった。また、引用された判例も本件事案とは事案を異にするものであった。 第2 問題の所在(論点):刑訴…
事件番号: 昭和26(あ)3297 / 裁判年月日: 昭和28年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、事実誤認の主張や逮捕時の警察官の行動に対する非難は、憲法違反をいうものであっても適法な上告理由には当たらないとしている。 第1 事案の概要:被告人が逮捕された際、警察官が何らかの行動をとったが、弁護人はその逮捕当時の警察官の行動を非難し、併せて憲法違反や事実誤認を主張して上告を申し立てた…