判旨
被告人らの上告理由が、適切な判例引用を欠くものや単なる事実誤認・量刑不当の主張に留まる場合、適法な上告理由に当たらない。酒税法の改正前後に関する法令適用の誤りについても、その実質が単なる訴訟法違反の主張に過ぎない場合は棄却される。
問題の所在(論点)
被告人らが主張する各事由(判例違反、違憲、事実誤認、量刑不当、改正酒税法の解釈誤り)が、刑訴法上の適法な上告理由に該当するか。
規範
上告審において適法な上告理由となるためには、憲法違反、判例違反、または法令解釈の誤り等の法的根拠が具体的に示される必要がある。単なる事実誤認、量刑不当、または本件に適切でない判例の引用は、刑訴法上の適法な上告理由(405条等)を構成しない。
重要事実
被告人A、B、Cらが、酒税法違反等の罪状について上告を申し立てた事案である。被告人C側は、昭和24年法律43号による改正前後の酒税法60条の適用関係に誤りがあるとして、第一審判決に違憲または訴訟法違反の瑕疵があると主張した。
あてはめ
被告人Aの主張は、引用する判例が本件に適切ではなく、実質的に法令違反や事実誤認をいうものであり、適法な理由を欠く。被告人Bの違憲主張は事実誤認を前提としており不適法である。被告人Cの主張については、法改正前後の酒税法適用の不備を訴えるが、その実質は単なる訴訟法違反の主張に過ぎず、また第一審判決における法条の指し示す対象も明確であって違法はない。したがって、いずれも適法な上告理由にならないと判断される。
結論
本件各上告を棄却する(刑訴法414条、386条1項3号)。
実務上の射程
上告理由の形式的要件を厳格に捉える実務上の態度を示す。特に違憲や判例違反を主張する際には、単なる事実関係の争いを持ち込むのではなく、法的評価の誤りを純粋に指摘しなければならない点を確認する材料として用いる。
事件番号: 昭和34(あ)397 / 裁判年月日: 昭和35年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書の証拠説明において明白な誤謬がある場合であっても、本来の趣旨に従って文意を読解すべきであり、その読解に基づいて判決の正当性を判断すべきである。 第1 事案の概要:被告人A、B、C、Dの各弁護人が量刑不当、判例違反、法令違反、事実誤認を理由に上告を申し立てた。特に被告人Bの弁護人は、原判決の理…
事件番号: 昭和26(あ)2761 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人側が主張する差別待遇や押収手続の違憲性は、前提となる事実が認められない場合には上告理由に当たらない。また、刑罰の減軽を求める量刑不当の主張は、刑訴法405条所定の上告理由を構成しない。 第1 事案の概要:被告人らは、差別待遇による憲法違反、押収物品目録の違法を前提とする違憲、心神耗弱の判断遺…
事件番号: 昭和46(あ)1017 / 裁判年月日: 昭和48年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が判例の具体的摘示を欠く場合や、原審で主張・判断されていない憲法違反をいう場合などは、適法な上告理由にはあたらない。記録上、自白の任意性に疑いがない限り、憲法38条2項違反の主張も認められない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cおよびそれぞれの弁護人が上告を申し立てた事案である。被告人A…
事件番号: 昭和25(れ)1702 / 裁判年月日: 昭和26年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当または事実誤認を理由とする上告は、刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人側は、原判決に対して量刑が不当であること、および事実誤認があることを理由として上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):量刑不当および事実誤認の主張が、最高裁判所…