判旨
特別抗告の申立書に「原決定に対し全部不服である」旨のみを記載し、抗告の趣旨(具体的な不服の理由)を記載しない場合は、申立ての手続が不適法であり、棄却を免れない。
問題の所在(論点)
特別抗告の申立書において、単に原決定に対し全部不服である旨を記載するだけで、具体的な抗告の趣旨(不服の理由)を記載しない申立ては適法といえるか。刑事訴訟法434条、426条1項の解釈が問題となる。
規範
特別抗告の申立書においては、法令違反等の具体的な抗告の理由(趣旨)を記載しなければならない。不服の対象を抽象的に示すのみでは、刑訴法434条、426条1項に則り、不適法な申立てとして棄却される。
重要事実
被告人Aに対する公職選挙法違反被告事件において、弁護人が行った裁判官に対する忌避申立てが却下された。これに対する準抗告も棄却されたため、弁護人は最高裁判所に対し特別抗告を申し立てた。しかし、その申立書には「原決定に対し全部不服である」旨の記載があるのみで、具体的な抗告の趣旨(理由)の記載が欠けていた。
あてはめ
申立人が提出した特別抗告申立書には、単に「原決定に対し全部不服である」との抽象的な記載がなされているに過ぎない。これは、裁判所が審査すべき具体的な不服の内容を特定する「抗告の趣旨」の記載を欠くものである。したがって、刑事訴訟法434条により準用される426条1項の「申立の手続がその規定に違反したとき」に該当し、不適法な申立てであると判断される。
結論
本件特別抗告は不適法であるため、棄却される。
実務上の射程
特別抗告や再抗告などの上訴手続において、申立書の記載事項として具体的な不服理由が不可欠であることを示す。実務上、憲法違反や判例相反等の具体的事由を明示せずに「全部不服」とするのみでは受理されないリスクがあることを確認する際に参照すべき。ただし、本決定は簡旨であるため、理由書の追完等の実務運用については別途検討を要する。
事件番号: 昭和28(し)53 / 裁判年月日: 昭和28年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書に、憲法違反や判例違反といった抗告の理由(趣旨)が具体的に記載されていない場合には、刑事訴訟法434条、426条1項に基づき、当該抗告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:公職選挙法違反被告事件に関し、弁護人がした裁判官の忌避申立てが却下され、それに対する準抗告も棄却された。…
事件番号: 昭和28(し)52 / 裁判年月日: 昭和28年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法に基づく特別抗告において、抗告申立書に抗告の趣旨が記載されず単に原決定に不服がある旨のみを記載した場合は、申立の方式に違反するものとして棄却される。 第1 事案の概要:被告人Aに対する公職選挙法違反事件において、弁護人(申立人)が裁判官の忌避申立てを行った。簡易裁判所がこの忌避申立てを却…
事件番号: 昭和28(し)54 / 裁判年月日: 昭和28年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書に「全部不服である」旨の記載のみがあり、具体的な抗告の趣旨(憲法違反または憲法解釈の誤り等)の記載がない場合には、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:公職選挙法違反被告事件において、弁護人が行った裁判官への忌避申出を却下する裁判に対し、準抗告がなされた。大分地方裁判所がこの…
事件番号: 昭和59(し)53 / 裁判年月日: 昭和59年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方裁判所の一人の裁判官が刑事訴訟法24条に基づき行った忌避申立却下の決定に対し、不服を申し立てる手段は、同法429条1項所定の準抗告によるべきであり、同法25条所定の即時抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:抗告人は、地方裁判所の一人の裁判官に対して裁判官忌避の申立てを行った。これに対し…
事件番号: 昭和57(し)100 / 裁判年月日: 昭和57年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書に具体的な抗告理由の記載がなく、かつ抗告提起期間内に理由書が提出されない場合には、当該申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:抗告人は、特別抗告の申立書に「原決定には刑訴法405条に規定する事由がある。抗告事由は追って提出する。」旨を記載したのみで、具体的な理由を明示し…