判旨
特別抗告の申立書に「全部不服である」旨の記載のみがあり、具体的な抗告の趣旨(憲法違反または憲法解釈の誤り等)の記載がない場合には、不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の特別抗告の申立書において、具体的理由を欠く「全部不服」との記載のみで、適法な申立てとしての要件を満たすか。
規範
特別抗告を申し立てる際には、申立書において単に不服を表明するだけでなく、法が定める具体的な抗告の趣旨(裁判に憲法の違反があること、または裁判に憲法の解釈の誤りがあること等)を明示しなければならない(刑事訴訟法433条1項、434条、426条1項参照)。
重要事実
公職選挙法違反被告事件において、弁護人が行った裁判官への忌避申出を却下する裁判に対し、準抗告がなされた。大分地方裁判所がこの準抗告を棄却したところ、申立人は最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その申立書には「原決定に対し全部不服である」とのみ記載されており、具体的な抗告の趣旨の記載が欠けていた。
あてはめ
本件における申立書の記載を確認すると、原決定の全部に対して不服であるという抽象的な意思表示がなされているに過ぎない。これは、法が求める抗告の趣旨の具体的な提示を欠くものであり、特別抗告の適法性を基礎付けるものとはいえない。したがって、本件申立ては手続上の方式に違反する不適法なものであると解される。
結論
本件特別抗告は不適法であり、これを棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法における不服申立手続において、不服の理由は特定される必要があることを示す。実務上は、憲法違反等の理由を具体的に摘示しない申立書は、形式不備として直ちに棄却の対象となることを念頭に置くべきである。
事件番号: 昭和28(し)53 / 裁判年月日: 昭和28年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書に、憲法違反や判例違反といった抗告の理由(趣旨)が具体的に記載されていない場合には、刑事訴訟法434条、426条1項に基づき、当該抗告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:公職選挙法違反被告事件に関し、弁護人がした裁判官の忌避申立てが却下され、それに対する準抗告も棄却された。…
事件番号: 昭和28(し)52 / 裁判年月日: 昭和28年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法に基づく特別抗告において、抗告申立書に抗告の趣旨が記載されず単に原決定に不服がある旨のみを記載した場合は、申立の方式に違反するものとして棄却される。 第1 事案の概要:被告人Aに対する公職選挙法違反事件において、弁護人(申立人)が裁判官の忌避申立てを行った。簡易裁判所がこの忌避申立てを却…
事件番号: 昭和28(し)55 / 裁判年月日: 昭和28年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書に「原決定に対し全部不服である」旨のみを記載し、抗告の趣旨(具体的な不服の理由)を記載しない場合は、申立ての手続が不適法であり、棄却を免れない。 第1 事案の概要:被告人Aに対する公職選挙法違反被告事件において、弁護人が行った裁判官に対する忌避申立てが却下された。これに対する準抗告…
事件番号: 昭和29(し)44 / 裁判年月日: 昭和30年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもった裁判所を意味する。本件では、被告人側の主張が実質的に訴訟法違反の主張にすぎず、憲法違反の事由に当たらないとして特別抗告が棄却された。 第1 事案の概要:申立人(弁護人)は、原決定に憲法37条1項違反があるとし…
事件番号: 昭和26(ク)10 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合する…