地方裁判所の一人の裁判官が刑訴法二四条により忌避申立却下の裁判をした場合とこれに対する不服申立方法
刑訴法24条,刑訴法25条,刑訴法429条1項1号
判旨
地方裁判所の一人の裁判官が刑事訴訟法24条に基づき行った忌避申立却下の決定に対し、不服を申し立てる手段は、同法429条1項所定の準抗告によるべきであり、同法25条所定の即時抗告をすることはできない。
問題の所在(論点)
地方裁判所の一人の裁判官が行った忌避申立却下決定(刑訴法24条)に対する不服申立の方法は、刑訴法25条の即時抗告か、それとも刑訴法429条1項の準抗告か。
規範
刑事訴訟法における不服申立制度に関し、裁判所がした決定に対しては即時抗告(同法25条)が認められる場合があるが、裁判官個人がした裁判(決定)に対しては、同法429条の準抗告の規定が適用される。忌避申立てが「一人の裁判官」に対してなされ、その裁判官(またはその裁判官が属する裁判所)が同法24条に基づき却下決定をした場合、その性質上、準抗告の手続によるべきである。
重要事実
抗告人は、地方裁判所の一人の裁判官に対して裁判官忌避の申立てを行った。これに対し、当該裁判官(または原原審)は刑事訴訟法24条に基づき忌避申立を却下する決定を下した。抗告人は、この決定に対して同法25条所定の即時抗告を申し立てたが、原審(高等裁判所)はこれを不適法として棄却したため、最高裁判所に特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
本件において、忌避申立ての対象となったのは地方裁判所の一人の裁判官である。刑事訴訟法上、裁判所の決定に対する不服申立としての即時抗告と、裁判官個人の裁判に対する不服申立としての準抗告は区別されている。一人の裁判官が刑訴法24条によりした忌避申立却下の裁判は、同法429条1項所定の裁判官による裁判に準ずるものと解される。したがって、これに対する不服申立は準抗告によるべきであり、即時抗告によることはできないと解するのが相当である。
事件番号: 昭和29(し)22 / 裁判年月日: 昭和29年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織および構成を持つ裁判所を指し、個々の裁判の内容が具体的に公正妥当であることを保障するものではない。 第1 事案の概要:申立人Aは、原決定が抗告理由に対して行った判断が不当であることを理由として、憲法37条1項(公平な裁判所…
結論
一人の裁判官による忌避申立却下決定への不服申立ては準抗告によるべきであり、即時抗告を不適法とした原判断は正当である。
実務上の射程
裁判官忌避の手続における不服申立手段の選択という実務的・手続的論点において決定的な射程を持つ。答案上では、裁判所による決定(25条)と裁判官による裁判(429条)の峻別を論ずる際の根拠として活用できる。特に、簡易却下(24条)がなされた場合の救済充足性を検討する場面で重要となる。
事件番号: 昭和53(し)11 / 裁判年月日: 昭和53年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告事件の審理を担当する裁判官が、当該事件に関する準抗告の裁判に裁判長として関与したという事実のみでは、直ちに憲法37条1項にいう「不公平な裁判所」にあたるとはいえない。 第1 事案の概要:被告事件の審理を担当している裁判官が、当該事件に関連して提起された準抗告の裁判に、裁判長裁判官として関与した…
事件番号: 昭和31(し)10 / 裁判年月日: 昭和31年6月5日 / 結論: 棄却
地方裁判所の一人の裁判官が刑訴第二四条によりした忌避申立却下の裁判に対し地方裁判所に即時抗告の申立があつた場合には、同裁判所は刑訴第四二六条第一項前段により不適法として右抗告を棄却すべきものである。
事件番号: 昭和29(し)46 / 裁判年月日: 昭和30年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもった裁判所を意味する。被告人の権利を実質的に保障するため、客観的に不公平な裁判が行われるおそれのない外観を備えていることが要求される。 第1 事案の概要:申立人(弁護人)が、原決定の判断に不服があるとして憲法37…
事件番号: 昭和29(し)9 / 裁判年月日: 昭和29年5月4日 / 結論: 棄却
地裁の一人の裁判官が刑訴第二四条により忌避申立却下の裁判をしたときは、これに対する不服は同第四二九条第一項(準抗告)によりその地方裁判所に対し行うべく、同第二後条により即時抗告をなすべきものではない。