判旨
証人尋問調書の証拠受理の可否や証人採用の是非は、刑事訴訟法の証拠法理および裁判官の裁量権に属する事項であり、憲法違反を主張しても実質が訴訟法違反であれば特別抗告の理由にはならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法226条、227条に基づく証人尋問調書の証拠能力や、裁判所による証人採用の可否といった訴訟手続上の判断について、憲法違反を構成して特別抗告の理由とすることができるか。
規範
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張していても、その実質が証拠の受理(刑訴法226条、227条、321条等)や証人採用に関する裁判官の裁量権といった、単なる訴訟法違反の主張に帰する場合には、適法な抗告理由に該当しない。
重要事実
申立人が、特定の証人尋問調書を証拠書類として受理し得るか否か、および証人申請を採用するか否かという判断について、憲法違反を主張して特別抗告を申し立てた事案。なお、具体的な事件の内容や下級審の判断に関する詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
本件における申立人の主張は、形式的には憲法違反を掲げている。しかし、その実質的内容は、刑事訴訟法226条、227条、321条等の証拠法の解釈問題、あるいは証人申請を採用するかという裁判官の裁量権の逸脱に関する不服にすぎない。これは刑事訴訟法405条および433条に規定される、憲法違反や判例抵触という厳格な特別抗告理由には当たらないと解される。
結論
本件特別抗告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における証拠採否や証拠能力の判断は裁判官の広い裁量に属し、これに対する不服を強引に憲法違反として構成しても、特別抗告の場面では門前払いされることを示唆する。答案上は、訴訟指揮に対する裁量権の限界や、特別抗告の限定的な性格を説明する際の補強材料として機能する。
事件番号: 昭和57(し)58 / 裁判年月日: 昭和57年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立棄却決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が、証拠決定(証拠の採否等)に対してなされた異議申立てを棄却した決定に対し、不服を申し立てるべく刑…
事件番号: 昭和53(し)101 / 裁判年月日: 昭和53年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却する決定は、訴訟手続に関し判決前にした決定であり、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる決定にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、裁判所による証拠決定(証拠採用または却下の決定)に対して異議を申し立てたところ、裁判所がその異議申立てを棄却する決…
事件番号: 昭和28(し)73 / 裁判年月日: 昭和28年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】抗告裁判所が保釈の当否について第一審裁判所と異なる判断を示したとしても、それは第一審裁判所の心証形成に不当な干渉を及ぼすものではない。 第1 事案の概要:第一審裁判所が保釈を認める決定(または認めない決定)を下したことに対し、抗告がなされた。抗告裁判所は、第一審裁判所の判断を覆す決定を行ったところ…
事件番号: 平成3(し)43 / 裁判年月日: 平成3年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張して特別抗告がなされた場合であっても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎないときは、刑事訴訟法433条の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し憲法11条、31条、32条違反を主張して特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は、実質的には法令の…
事件番号: 昭和58(し)102 / 裁判年月日: 昭和58年10月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所外に証人を召喚して尋問する旨の決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:裁判所が、証人尋問を実施するために裁判所外に証人を召喚する旨の決定(本件決定)を行った。これに対…