一 商標法第三四条第一号、第三号の規定は憲法第二五条に違反しない。 二 商標法第三四条第一号、第三号の規定は職業選択の自由を保障した憲法第二二条と何等関係はない。
一 商標法第三四条第一号第三号の合憲性 二 商標法第三四条第一号第三号と憲法第二二条
憲法22条,憲法25条,商標法34条1号,商標法34条3号
判旨
商標法(旧法)の刑罰規定は、生存権(憲法25条)を侵害するものではなく、また職業選択の自由(憲法22条)にも何ら関係せず、これに違反しない。
問題の所在(論点)
商標法(旧法)34条1号および3号の規定は、憲法25条が保障する生存権、および憲法22条が保障する職業選択の自由を侵害し、違憲といえるか。
規範
憲法25条の生存権は、国家に対し国民が最低限度の生活を営むに必要な施策を求める権利であり、商標法による商標権の保護およびその違反に対する処罰は、同条の趣旨に反するものではない。また、商標権の侵害を禁止し処罰する規定は、各人の職業の選択を制約する性質のものではない。
重要事実
被告人が商標法34条1号、3号(旧法)違反に問われた事案において、被告人および弁護人は、同条が憲法25条(生存権)および憲法22条(職業選択の自由)に違反するとして上告した。
事件番号: 昭和27(あ)3897 / 裁判年月日: 昭和28年9月3日 / 結論: 破棄自判
他人の登録商標と同一の商標を、類似の商品に貼付して、販売する目的で所持していたからといつて、商標法第三四条第二号違反をもつて論ずることはできない。
あてはめ
最高裁判例の趣旨に照らせば、商標法の各規定が憲法25条に違反しないことは明らかである。また、商標権の侵害を禁止し処罰することは、個人がどのような職業に就くかという職業の選択そのものを制限するものではない。したがって、これらの規定が憲法22条に違反するという主張は理由がない。
結論
商標法(旧法)34条1号、3号は憲法22条および25条に違反しない。
実務上の射程
知的財産権の保護に伴う罰則規定と経済的自由権の関係を簡潔に肯定した事例。生存権や職業選択の自由といった基本権を根拠に、知的財産権等の独占的権利やその刑罰規定を否定することは困難であることを示している。
事件番号: 昭和38(あ)3179 / 裁判年月日: 昭和40年7月14日 / 結論: 棄却
医薬品の販売業につき登録制を定めた旧薬事法(昭和三五年法律第一四五号による改正前の同二三年法律第一九七号)第二九条第一項は、憲法第二二条第一項、第二五条に違反しない。
事件番号: 昭和24(れ)2545 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 棄却
原判決の法律の適用を調査すると、被告人Aの判示、第一の塩酸ヂアセチルモルヒネ販売の所為、第二の麻薬の所持の所為について、原判決は、犯罪後に法律による刑の変更があつたものとして刑法第六条第一〇条を適用している。しかし、判示昭和二〇年厚生省令第四四号及び麻薬規則は共に昭和二三年七月一〇日麻薬取締法第六五条により廃止せられた…