判旨
憲法39条(二重処罰の禁止等)および憲法37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)の違反を主張して量刑不当を争う上告は、原審で主張・判断を経ていない事項であり、かつ実質的に量刑を非難するものに過ぎない場合は適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法405条の上告理由として、原審で判断されていない憲法違反の主張や、実質的に量刑不当を争う趣旨の主張が認められるか。
規範
憲法39条(一事不再理・二重処罰の禁止等)および憲法37条1項(迅速・公開・公平な裁判)に関する憲法違反の主張であっても、その実質が量刑の不当を非難するに過ぎない場合や、原審において主張・判断を経ていない事項である場合には、刑事訴訟法405条所定の適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人は刑を言い渡されたが、量刑が不当であるとして上告した。弁護人は上告趣意において、憲法39条および憲法37条1項への違反を主張したが、これらの憲法違反の主張は第一審や控訴審(原審)では争われておらず、上告審で初めて持ち出されたものであった。また、弁護人が主張する憲法違反の実質的な内容は、裁判所が科した刑罰が重すぎるという量刑不当の指摘であった。
あてはめ
本件において弁護人が主張する憲法39条および37条1項違反は、いずれも原審において主張判断を経ていない事項である。さらに、それらの主張の内容を検討すると、実質的には裁判所の裁量に属する量刑の重さを非難するものに過ぎない。量刑不当は刑訴法405条が定める適法な上告理由(憲法違反、判例相反)には該当しないため、本件の主張は不適法であるといえる。また、記録を精査しても、職権で判決を取り消すべき刑訴法411条の事由も認められない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
量刑不当を憲法違反(残虐な刑罰や一事不再理等)にすり替えて主張しても、その実質が量刑判断への不満であれば上告理由として認められないことを示す。また、上告審が事後審である以上、原則として原審で主張しなかった憲法違反を新たに主張することはできないという実務上の限界を確認する際にも用いられる。
事件番号: 昭和29(あ)3374 / 裁判年月日: 昭和30年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において憲法違反を主張する場合であっても、その実質が証拠の採否等に関する事実誤認や単なる証拠評価の不当を争うものであるときは、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断に対し上告を申し立てた事案。弁護人は憲法違反を主張したが、その具体的内容は、原審における証拠の採否…
事件番号: 昭和26(あ)2866 / 裁判年月日: 昭和26年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な理由も認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:本件において、弁護人は上告趣意を提出したが、最高裁判所はその内容を検討した結果、法律上の上告理由(刑訴法405条)を構成しないと判断した…