判旨
刑事訴訟規則改正後の公判手続において、起訴状朗読の事実を公判調書に記載する必要はないため、当該記載がないことをもって直ちに訴訟手続の違反とはいえない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法に基づき、公判調書に起訴状朗読の事実が記載されていない場合、それが訴訟手続の法令違反(刑訴法405条、411条)に該当するか。
規範
刑事訴訟規則44条の改正(昭和27年7月10日施行)以降、起訴状朗読の事実を公判調書に記載することを要しなくなった。したがって、調書に記載がないことをもって手続違反と断じることはできず、別途、適法な朗読がなされなかったと認めるべき証拠が必要となる。
重要事実
本件の上告人は、併合された事件の公判手続において、公判調書に起訴状朗読の事実が記載されていないことを理由に、手続の違法を主張した。当該公判手続が行われたのは昭和27年7月10日であり、刑事訴訟規則44条の改正後であった。
あてはめ
本件公判が行われた昭和27年7月10日は、起訴状朗読の事実を公判調書に記載することを要しないとした刑訴規則44条の改正後である。そのため、公判調書に記載がないことは当然に想定される事態であり、これをもって直ちに手続違反とはいえない。また、記録を精査しても、実際に起訴状の朗読がなされなかったと認めるべき証拠は存在しない。
結論
公判調書に起訴状朗読の記載がないことは、規則改正後の手続として適法であり、上告理由には当たらない。
実務上の射程
公判調書の記載事項の省略に関する実務上の判断を示す。公判手続の適法性が争われる際、調書の記載の有無のみならず、当時の法規範(規則)の適用関係及び実態としての手続履行の有無を慎重に検討すべきことを示唆している。
事件番号: 昭和27(あ)5150 / 裁判年月日: 昭和28年2月10日 / 結論: 棄却
刑事訴訟規則四四条によれば、所論の諸事項(註。被告人保護のため黙秘権等を告知すること等を指す)は、公判調書に記載することを要しないものである。それ故にそれ等の記載がなかつたからとて違法があつたものということはできない。