判旨
逮捕手続に違法があったとしても、そのこと自体は判決に影響を及ぼすものではないため、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
逮捕手続に違法が存在する場合、それが直ちに判決に影響を及ぼす違法として上告理由(刑訴法405条、411条等)となるか。
規範
逮捕手続そのものの違法は、判決に直接的な影響を及ぼす事由には当たらない。したがって、逮捕手続の違法を理由として判決の破棄を求めることはできない。
重要事実
被告人が逮捕手続の法令違反を主張し、さらに警察官による取調べで強制・脅迫があったとして自白の不任意性を訴えた事案。第一審では被告人は自白調書の証拠採用に同意し、公判廷でも自白していたが、上告審において逮捕の違法と自白の違憲性を主張した。
あてはめ
判例によれば、逮捕の違法そのものは判決に影響を及ぼさない。また、本件においては自白が強制された事実は記録上認められず、第一審判決も警察官に対する自白調書を証拠に引用していない。さらに、補強証拠も存在することから、自白のみによる処罰を禁じた憲法38条3項にも違反しない。
結論
逮捕手続の違法は上告理由とならず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
違法収集証拠排除法則が確立する前の古い判例であり、現代の答案作成においては、逮捕の違法が「公訴棄却」の事由になるか、あるいは「違法収集証拠排除法則」を通じて証拠能力に影響するかという文脈で検討すべきである。本判決の法理をそのまま適用すると、手続の違法が実体判決を左右しないとする「先行手続の違法の承継」を否定する論理として機能する。
事件番号: 昭和28(あ)4790 / 裁判年月日: 昭和30年12月16日 / 結論: 棄却
刑訴第二二一条第二項第二号により現行犯人とみなされるためには、必ずしも逮捕の瞬間に同号掲記の物件を所持している必要はない。