判旨
逮捕等の手続の違憲・違法を理由として公訴提起の手続や判決の効力を争うことは、刑訴法405条所定の適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
逮捕手続の違憲・違法を理由に、判決の取り消しを求める上告は認められるか。換言すれば、捜査段階の違法が上告理由(刑訴法405条)に該当するか。
規範
逮捕手続に憲法違反や法律違反の瑕疵があったとしても、そのこと自体は刑訴法405条に規定される適法な上告理由(憲法違反・判例相反)を構成しない。
重要事実
被告人A、B、Cらは各罪に問われ、一審・二審で有罪判決を受けた。これに対し被告人側は、逮捕手続に違憲の瑕疵があることなどを主張して上告を申し立てた。
あてはめ
最高裁判所は、弁護人が主張する「逮捕の違憲」については、当裁判所の判例(昭和23年12月1日大法廷判決)に照らし、適法な上告理由にならないと判示した。また、記録を精査しても、刑訴法411条を適用して職権で判決を破棄すべき顕著な違法は認められないと判断した。
結論
逮捕手続の違法は適法な上告理由に当たらないため、本件各上告を棄却する。
実務上の射程
捜査段階の違法(違法収集証拠の排除等を除く)を、上告審において「憲法違反」として直接の破棄理由にすることの困難さを示している。答案上は、手続違法の承継論や違法収集証拠排除法則の問題として構成すべきであり、単なる「逮捕の違憲」のみでは上告理由として不十分であることを示す際に参照される。
事件番号: 昭和28(あ)4015 / 裁判年月日: 昭和29年1月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逮捕手続に違法があったとしても、そのこと自体は判決に影響を及ぼすものではないため、上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が逮捕手続の法令違反を主張し、さらに警察官による取調べで強制・脅迫があったとして自白の不任意性を訴えた事案。第一審では被告人は自白調書の証拠採用に同意し、公判廷でも自白…