判旨
死刑制度は憲法13条の公共の福祉による生命の権利の制限として許容されており、かつての関連事件を担当した弁護士が被告事件を担当することも直ちに違法とはならない。
問題の所在(論点)
1. 過去に関連事件を担当した弁護士が被告人の弁護人を務めることは、弁護権の保障(憲法37条3項、刑訴規則29条2項)に抵触し違法となるか。 2. 死刑制度は、生命に対する権利を保障する憲法13条に照らして合憲か。
規範
1. 憲法13条が保障する生命に対する国民の権利であっても、公共の福祉という基本的原則に反する場合には、立法上の制限ないし剥奪が当然に予想されている。 2. 弁護人がかつて関連する別事件(共犯者等の事件)を取り扱った経験があるという事実のみをもって、当該被告事件を担当することが直ちに違法となるものではない。
重要事実
被告人は死刑を言い渡された刑事事件について上告した。弁護人は、①かつて別の関連事件(A事件)を取り扱ったことのある弁護士が本件を担当することは刑事訴訟規則29条2項等に照らし違法であり憲法37条3項に違反すること、および②死刑という刑罰自体が生命の権利を保障する憲法に違反し、第一審の死刑判決を維持した原判決は憲法違反であることを主張した。
あてはめ
1. 弁護人の資格について、かつて別事件を担当した事績があるからといって、本件の担当が当然に違法となる事由は認められない。 2. 死刑の合憲性について、憲法13条は公共の福祉による制限を予定しており、判例(最大判昭23.3.12)に照らせば、死刑の量定を維持した原判決に憲法違反の点はない。
結論
本件上告を棄却する。死刑制度は合憲であり、弁護人の選任に関する手続き等にも違法はない。
実務上の射程
死刑制度の合憲性を再確認した判例であり、公共の福祉による基本権制限の法理(憲法13条)を適用する際の基礎となる。また、利益相反的な弁護活動が疑われる場面においても、単に関連事件の既往があることのみでは違法とはならないという実務上の指針を示している。
事件番号: 昭和23(れ)1532 / 裁判年月日: 昭和24年3月29日 / 結論: 棄却
一 しかし死刑は憲法第一三條に違反するものではなくまた憲法第三六條の残虐なる刑罰に當らないということは當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(れ)第一一九號同二三年三月一二日大法廷判決) 二 原審Aの供述は一一ケ月前になしたる鑑定の結果に關するものであるとしても、これを唯一の證據として判示死亡原因を認定すること…