判旨
おとり捜査が警察職員等の詐術によって犯行が誘発されたものであれば違憲の疑いが生じ得るが、証拠上そのような犯行誘発の事実が認められない場合には、適法な捜査として是認される。
問題の所在(論点)
警察職員やその協力者が関与したいわゆる「おとり捜査」が行われた場合において、どのような要件があれば憲法違反(違法な捜査)となるか。特に、詐術による犯行の誘発があったか否かの判断基準が問題となる。
規範
警察職員またはその手先の詐術に陥って犯行が誘発された事実(犯意誘発型)が認められる場合には、適正手続(憲法31条)等に反し違法となり得るが、そのような事実が認められない限り、上告理由となるような憲法違反や公序良俗違反は認められない。
重要事実
被告人が特定の犯罪行為(詳細は判決文からは不明)に及んだ際、警察職員またはその協力者が関与していた可能性が主張された。弁護人は、本件犯行が警察側の詐術によって誘発されたものであるとして、憲法違反を理由に上告を申し立てた。
あてはめ
記録上、被告人の本件犯行が警察職員またはその手先の詐術に陥って誘発されたという事実を認めるべき証拠は存在しない。したがって、おとり捜査が違憲であるという主張の前提を欠いており、捜査の態様を違法と評価することはできない。
結論
本件における捜査が違憲・違法であるとはいえず、被告人の上告は棄却される。
実務上の射程
わが国におけるおとり捜査の適法性に関する最初期の最高裁判断である。実務上は、犯意を持たない者に働きかけて犯行を行わせる「犯意誘発型」は違法とされる一方、既に犯意を持つ者に機会を提供する「機会提供型」は適法とされる。本判決は「詐術による犯行の誘発」をキーワードにその境界線を示唆している。
事件番号: 昭和28(あ)3701 / 裁判年月日: 昭和30年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】犯意の成立には、自然犯・行政犯を問わず、自己の行為が法に違反するものであるとの認識(違法の意識)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が何らかの犯罪事実(具体的な罪名は判決文からは不明)に問われ、有罪判決を受けた事案において、弁護人が「違法の認識がなかった以上、犯意が否定されるべきである」とし…
事件番号: 昭和31(あ)4601 / 裁判年月日: 昭和32年10月11日 / 結論: 棄却
一 外国にある弗預金を取得した代償として本邦の居住者に対して基準外国為替相場を超える支払をした場合は、外国為替及び外国貿易管理法第二八条と同法第七条第六項違反の罪が成立し、両者は観念的競合になる。 二 国外に去ることが明らかな参考人の検察官面前調書であつても証拠能力を失うものではない。
事件番号: 昭和38(あ)2629 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律が基本的な規制を概括的に規定し、具体的な犯罪構成要件の細目を政令に委任することは、特に経済統制法規のような専門的・流動的な分野においては憲法73条6号但書、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、外国為替及び外国貿易管理法(当時)27条1項3号に違反して、許可を受けずに非居住者のた…
事件番号: 昭和37(あ)624 / 裁判年月日: 昭和40年1月20日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第一項第三号は憲法第二九条に違反しない。
事件番号: 昭和39(あ)1295 / 裁判年月日: 昭和40年11月26日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法二七条第一項第三号違反の罪と同法第四八条第一項に基づく命令に違反する罪とは、牽連犯ではない。