一 外国にある弗預金を取得した代償として本邦の居住者に対して基準外国為替相場を超える支払をした場合は、外国為替及び外国貿易管理法第二八条と同法第七条第六項違反の罪が成立し、両者は観念的競合になる。 二 国外に去ることが明らかな参考人の検察官面前調書であつても証拠能力を失うものではない。
一 外国為替及び外国貿易管理法第二八条違反の罪と同法第七条第六項違反の罪とは観念的競合となるか 二 国外に去ることが明らかな者に対し検察官の作成した供述調書の証拠能力
外国為替及び外国貿易管理法28条,外国為替及び外国貿易管理法7条6項,外国為替及び外国貿易管理法70条2号,外国為替及び外国貿易管理法70条9号,昭和24年大蔵省告示970号(基準外国為替相場及び裁定外国為替相場),刑法54条1項,刑訴法321条1項2号
判旨
供述者の国外移住を条件とした誘導や、反対尋問権を剥奪する目的での供述調書作成が行われていない以上、伝聞例外としての証拠能力を認めることに憲法違反はない。
問題の所在(論点)
供述者の国外移住を容易にする等の便宜を図り、意図的に被告人の反対尋問権を回避する形で作成された検察官調書について、憲法37条2項等の趣旨に照らし証拠能力が認められるか。
規範
検察官調書の証拠能力が争われる場合、供述者の移住を許容することを条件として誘導的に供述を得た事実や、被告人の反対尋問権を故意に剥奪する目的をもって作成された事実が認められない限り、適法な手続によって作成されたものとして憲法に違反しない。
重要事実
被告人らの刑事事件において、検察官が作成した供述者Cの調書が証拠として提出された。弁護人は、Cが米国へ移住することを許容する条件で検察官が誘導して供述を得たものであること、また、反対尋問の機会を奪う目的で作成されたものであることを理由に、当該調書の証拠採用は違憲であると主張して上告した。
事件番号: 昭和33(あ)1452 / 裁判年月日: 昭和34年2月5日 / 結論: 棄却
本邦人以外の居住者が、自己が外国において有する外国銀行預金にもとづいて、本邦内で小切手を振出した場合も、外国為替等集中規則第三条第一項にいう対外支払手段の「取得」にあたる。
あてはめ
原判決の認定によれば、検察官が供述者Cの米国移住を許容することを条件として供述を誘導した事実は認められない。また、当該調書が被告人の反対尋問権を故意に剥奪する目的をもって作成された事実も存在しない。したがって、所論の違憲主張はその前提を欠いており、証拠能力を否定すべき特段の事情は認められない。
結論
本件検察官調書の証拠採用に違憲の点はなく、適法である。
実務上の射程
伝聞例外(刑訴法321条1項2号等)の適用場面において、供述者の不出頭が検察側の不当な働きかけや意図的な反対尋問権の剥奪によるものでないかを判断する際の基準となる。実務上は、証人確保の努力を怠った場合や便宜供与があった場合の証拠能力否定の限界を示すものとして位置づけられる。
事件番号: 昭和37(あ)1868 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律の委任に基づき政令で罰則(犯罪構成要件および刑)を設けることは憲法73条6号但書により許容される。また、不当に長い拘禁後の自白(憲法38条2項)に該当するかは、身柄拘束の経緯、事案の複雑性、自白の時期等を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は外国為替及び外国貿易管理法違反の罪に…
事件番号: 昭和31(あ)3837 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法二二条は、本邦居住者に対し、政令の定める所により本件ドル表示小切手の如き対外支払手段等を、日本銀行等に売却する義務即ち集中義務を課して居るけれども、同法第二五条は、同二二条の適用範囲を制限し、外国に在る間の取引に因り外国の銀行になした預金については、日本の管理法令を適用しない旨を規定し、同法又…
事件番号: 昭和28(あ)3475 / 裁判年月日: 昭和28年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】おとり捜査が警察職員等の詐術によって犯行が誘発されたものであれば違憲の疑いが生じ得るが、証拠上そのような犯行誘発の事実が認められない場合には、適法な捜査として是認される。 第1 事案の概要:被告人が特定の犯罪行為(詳細は判決文からは不明)に及んだ際、警察職員またはその協力者が関与していた可能性が主…
事件番号: 昭和30(あ)402 / 裁判年月日: 昭和35年6月24日 / 結論: 棄却
一 米国軍票は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第八号にいう「対外支払手段」に該当する。 二 軍票の日本銀行に対する寄託業務を定めている昭和二七年政令第一二七号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令第四条第二項の規程は、単に対外支払手段等の…