外国為替及び外国貿易管理法二七条第一項第三号違反の罪と同法第四八条第一項に基づく命令に違反する罪とは、牽連犯ではない。
外国為替及び外国貿易管理法二七条第一項第三号違反の罪と同法第四八条第一項に基づく命令に違反する罪とは牽連犯か。
外国為替及び外国貿易管理法27条1項3号,外国為替及び外国貿易管理法48条1項,外国為替及び外国貿易管理法70条7号,外国為替及び外国貿易管理法70条21号,輸出貿易管理令1条1項,刑法54条1項
判旨
外国為替及び外国貿易管理法上の無免許支払罪と輸出許可条件違反の罪とは、その行為の性質からみて通常手段結果の関係にあるとは認められず、刑法54条1項後段の牽連犯には当たらない。
問題の所在(論点)
外為法27条1項3号違反の罪(無免許支払)と、同法48条1項に基づく命令違反の罪(輸出許可条件違反)について、刑法54条1項後段の牽連犯が成立するか。
規範
刑法54条1項後段にいう「犯罪の手段……である行為」とは、ある罪の性質上、その手段として通常行われる関係にあるものをいう。単に当該事件において手段・結果の関係にあるだけでは足りず、行為の性質からみて客観的な予見可能性や通念上の関連性が認められる必要がある。
重要事実
被告人が、外国為替及び外国貿易管理法(外為法)27条1項3号に違反して無免許で支払を行った行為(無免許支払罪)と、同法48条1項に基づく命令に違反して輸出許可条件に従わなかった行為(輸出許可条件違反の罪)について、これらが牽連犯の関係にあるかどうかが争われた。
事件番号: 昭和31(あ)3416 / 裁判年月日: 昭和34年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不認可両替業務と、その対象とは別個の軍票を対象とする不寄託行為との関係について、刑法54条1項の観念的競合または牽連犯は成立せず、併合罪となると解するのが相当である。 第1 事案の概要:被告人は、不認可の両替業務(外国為替及び外国貿易管理法違反)を行い、その対象たる軍票は2万6700ドルであった。…
あてはめ
外為法27条1項3号違反の罪と、同法48条1項に基づく命令違反の罪を比較すると、一方は支払制限への違反であり、他方は輸出貿易の管理等に関する命令への違反である。これらの各罪は、その行為の性質からみて、一方が他方の手段となり、あるいは結果となることが通常想定されるような関係にあるとは認められない。したがって、本件における具体的な犯行態様がどうであれ、性質上の牽連性は否定される。
結論
両罪は牽連犯(刑法54条1項後段)には当たらず、併合罪(同法45条前段)として処理される。上告棄却。
実務上の射程
罪数論における牽連犯の判断基準として「行為の性質上、通常、手段結果の関係にあること」という客観的説(判例の確立した立場)を再確認するもの。外為法等の行政刑罰においても、この一般的基準が適用されることを示しており、実務上、複数の行政法規違反が重なる場面での罪数判断の指標となる。
事件番号: 昭和38(あ)1801 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
一 外国為替及び外国貿易管理法第七三条は、事業主たる法人の代表者でない従業者の違反行為につき、当該法人に右行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定と解すべく、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れないとする法意である…
事件番号: 昭和39(あ)2728 / 裁判年月日: 昭和40年9月10日 / 結論: 棄却
非居住者に対して、いわゆる「預り円」を支払うことは、外国為替及び外国貿易管理法第二七条第一項第二号前段の規制の対象となる。
事件番号: 昭和37(あ)1250 / 裁判年月日: 昭和40年9月21日 / 結論: 棄却
所論は、本件適用法令たる外国為替及び外国貿易管理法(以下、単に法という。)第二七条第一項第三号前後の憲法第一三条第二九条第一項違反を主張する。しかし、右規定が国民の経済活動、ひいて財産権の行使に対しある程度の制限を加えているものであることは疑いがないけれども、右制限は、法第一条の掲げる諸目的に照らし、これを阻害する事態…
事件番号: 昭和38(あ)2629 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律が基本的な規制を概括的に規定し、具体的な犯罪構成要件の細目を政令に委任することは、特に経済統制法規のような専門的・流動的な分野においては憲法73条6号但書、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、外国為替及び外国貿易管理法(当時)27条1項3号に違反して、許可を受けずに非居住者のた…