判旨
法令が改廃され罰則が廃止された場合ではなく、単に事態の変遷等に伴い公定価格の告示が廃止されたにすぎない場合は、刑の廃止(刑訴法411条5号)には当たらない。
問題の所在(論点)
公定価格の告示が廃止された場合、刑訴法411条5号(または刑法6条)にいう「刑の廃止」があったものとして、上告審において判決を取り消すべきか。
規範
刑訴法411条5号の「刑の廃止」とは、法改正等により当該行為を処罰する根拠自体が消失した場合を指す。一方、法自体は存続しつつ、公定価格の告示といった細目的規定が経済情勢の変化等の事実上の理由により廃止されたにすぎない場合は、これに該当しない。
重要事実
被告人は自動車揮発油等の公定価格に違反する行為を行ったとして起訴された。その後、昭和27年7月1日をもって当該公定価格の告示が廃止されたため、これが「刑の廃止」にあたるかが争点となった。
あてはめ
本件における自動車揮発油外5種に関する公定価格の告示廃止は、事態の変遷に伴う事実上の変更にすぎないと解される。処罰根拠となる法令そのものが廃止されたわけではないため、訴訟条件や刑の軽重に影響を及ぼす「刑の廃止」があったとは認められない。
結論
本件公定価格の廃止は「刑の廃止」に当たらないため、原判決を維持し、本件上告を棄却する。
実務上の射程
限時法や行政上の告示が変更された際の処罰の可否(いわゆる「法律の改廃」と「事実の変更」の区別)に関する古典的な判断枠組みとして、実務上および答案作成上活用される。
事件番号: 昭和25(あ)2911 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の犯罪成立後、価格指定の物価庁告示が廃止されたとしても、それは刑罰の廃止(刑訴法411条5号等)には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が物価統制令に違反する行為を行った後、当該行為の処罰の基準となっていた価格指定の物価庁告示が廃止された。被告人側は、この告示の廃止が刑罰の廃止に当…