判旨
私有地であっても、一般交通の用に供されている場所であれば、道路交通法上の「道路」に該当し、当該場所での行為に同法を適用することは憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
私有地が道路交通法上の「道路」に含まれるか。また、私有地における交通規制が憲法に違反しないか。
規範
道路交通法(旧道路交通取締法)上の「道路」とは、公道のみならず、私有地であっても一般の交通の用に供され、客観的に公の道路としての実体を備えている場所を含む。そのような場所に対して交通規制を及ぼすことは、公共の福祉に基づく合理的な制限であり、憲法に抵触しない。
重要事実
被告人が特定の場所においてビラ配布を行った行為が、道路交通取締法違反に問われた。被告人側は、当該場所は私有地であり公の道路ではないため、同法を適用して処罰することは憲法違反であると主張して上告した。
あてはめ
本件の行為場所は私有地であったが、客観的事態に照らせば一般交通の用に供される「道路」としての実態を備えていた。このような場所は、形式上の所有権のいかんに関わらず、道路交通の安全と円滑を図るという法目的に照らし、公の道路と同様に規制の対象となる。したがって、当該場所を道路と認定し、法を適用した原判決の判断に憲法違反の点はない。
結論
私有地であっても一般交通の用に供される場所は「道路」に当たり、そこでのビラ配布行為等に道路交通法規を適用することは合憲である。
実務上の射程
道路交通法上の道路概念が「一般交通の用に供されている場所」という実質的基準で定まることを示す。私道や私有地内の広場であっても、不特定多数の通行が予定されている場所であれば、同法や公道上の規制が及ぶことを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和37(あ)3065 / 裁判年月日: 昭和38年6月17日 / 結論: 棄却
本件場所が、道路交通取締法(昭和二二年法律第一三〇号)第二条第二項の「一般交通の用に供するその他の場所」に該当するとした原判決の判断は相当である。 (原判決の判断の要旨)本件場所は、当時架橋工事中のa橋にさしかかる新設道路から分岐してその西方のb川の河原に至る間の約九三米の区間であるが、同所は数年前から砂利採取業者らが…
事件番号: 昭和34(あ)1540 / 裁判年月日: 昭和35年3月3日 / 結論: 棄却
道路において演説をなし人寄をする場合を許可制とした道路交通取締法第二六条第一項第四号、第二九条第一号、同法施行令第六九条第一項および昭和二九年北海道公安委員会規則第一二号道路交通取締法施行細則第二六条第八号の各規程は、憲法第二一条に違反しない。