道路において演説をなし人寄をする場合を許可制とした道路交通取締法第二六条第一項第四号、第二九条第一号、同法施行令第六九条第一項および昭和二九年北海道公安委員会規則第一二号道路交通取締法施行細則第二六条第八号の各規程は、憲法第二一条に違反しない。
道路において演説をなし人寄をする場合を許可制とした道路交通取締法令の合憲性。
道路交通取締法26条1項4号,道路交通取締法29条1号,道路交通取締法施行令69条1項,昭和29年北海道公安委員会規則12号道路交通取締法施行細則26条8号,憲法21条
判旨
憲法21条は表現の自由を絶対無条件に保障したものではなく、公共の福祉のため必要があるときは、その時、所、方法等につき合理的な制限を課すことが可能である。道路での演説による人寄せを警察署長の許可制とし、無許可行為を処罰することは、道路交通の安全と公共の安全を維持する目的から合憲である。
問題の所在(論点)
道路における演説等の人寄せ行為を警察署長の許可制とし、無許可行為を処罰する道路交通取締法等の規定は、憲法21条1項の保障する表現の自由を侵害し違憲ではないか。特に、公共の福祉による制限の限度が問題となる。
規範
表現の自由(憲法21条1項)といえども、公共の福祉のために必要がある場合には、その時、所、方法等について合理的な制限を受ける。具体的には、特定の表現活動が道路交通の妨害や公共の安全を害するおそれがある場合には、公共の福祉に基づく必要かつ合理的な範囲内で、事前の許可制を敷き、違反者に刑罰を科すことも許容される。
重要事実
被告人らは、道路において演説その他の方法により人寄せを行った。しかし、当時施行されていた道路交通取締法26条1項4号、同施行令69条1項、および北海道公安委員会規則(道路交通取締施行細則)26条8号は、道路において演説等のため人寄せをする行為を警察署長の許可にかからしめていた。被告人らはこの許可を得ずに人寄せを行ったとして、同法29条1号に基づき起訴された。被告人らは、当該規制が憲法21条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
道路において演説等の方法で人寄せをすることは、道路交通の妨害を招き、ひいては道路交通上の危険の発生や公共の安全を害するおそれがある。このような事態を防止するため、演説等の行為を警察署長の許可制とし、無許可の者を処罰することは、道路交通の安全維持という「公共の福祉」のために必要である。本件の規制は、表現の内容そのものを一律に禁止するものではなく、道路という特定の場所における表現の「方法」等に着目した合理的な制限といえる。したがって、被告人らを処罰した原判決に憲法違反は認められない。
結論
本件各規定は、公共の福祉に基づく合理的制限として憲法21条に抵触せず合憲である。被告人らの上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、表現の自由に対する「時・所・方法」の制限に関する初期の判例である。道路などの公道を利用する表現活動が、他者の通行権や安全と衝突する場合に、行政上の許可制を介した規制が合憲とされる枠組みを示している。答案上は、表現の自由の制約が問題となる事案において、公共の福祉による「合理的制限」の根拠として引用できるが、現代の審査基準(厳格な合理性の基準やLRAの基準等)を適用する際の前置きや、公共的空間の利用規則の合憲性を論じる際の出発点として位置づけるのが適切である。
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