一 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)四条三項による許可条件の付与は、現に切迫した公衆に対する危害を防止するためばかりでなく、公衆に対する危害を予防するため公衆に対する危害に発展する可能性のある行為を禁止、制限する場合にも許される。 二 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)四条三項は、公安委員会に許可条件の付与を委任する要件を定めた規定として不明確でない。 三 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)四条三項により、公衆に対する危害を防止するための許可条件として、ジグザグ行進やいわゆるフランス式デモを禁止、制限することは、許される。
一 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)四条三項により付しうる許可条件の範囲 二 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)四条三項は公安委員会に許可条件の付与を委任する要件を定めた規定として不明確か 三 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)四条三項によるジグザグ行進及びいわゆるフランス式デモの禁止、制限の適法性
昭和24年秋田県条例25号(道路交通等保全に関する条例)4条3項,憲法31条
判旨
集団行動の許可制は、不許可事由が厳格に制限されている限り実質的な届出制として憲法21条に違反しない。また、公衆に対する危害を予防するためにジグザグ行進等を制限・禁止する許可条件を付すことも許容される。
問題の所在(論点)
1. 本条例が採用する集団行動の許可制は、表現の自由(憲法21条)を侵害し違憲か。 2. 公衆への危害を「予防」するために、ジグザグ行進等の制限・禁止を許可条件として付すことは許されるか(憲法21条、31条、本条例の解釈)。
規範
1. 集団行動に対する許可制は、公安委員会が「公共の安全を危険ならしめるような事態を惹起することが明瞭であると認められる場合」を除き許可しなければならない等、不許可とする場合が厳格に制限されているときは、実質において届出制と異ならず、憲法21条に違反しない。 2. 許可条件の付与は、現に公衆に対する危害が切迫している場合に限らず、公衆に対する危害に発展する可能性のある行為を制限・禁止することにより、危害を予防する目的で行うことも許される。
事件番号: 昭和46(あ)689 / 裁判年月日: 昭和50年9月30日 / 結論: 棄却
一 だ行進やすわり込みは、集団行動による思想の表現のために不可欠のものではなく、これを禁止しても、思想表現行為としての集団行動の本質的意義と価値を失わしめ憲法上保障される表現の自由を不当に制限することにならないから、このような条件に違反したもののうちどの範囲のものを処罰するかは立法政策の問題にすぎない。 二 行進又は集…
重要事実
秋田県道路交通等保全に関する条例(本条例)は、集団行動につき公安委員会の許可を要求し(1条)、秩序を紊すことで生ずる公衆への危害を予防するため必要な条件を付しうると定めていた(4条3項)。被告人らは集団示威運動に際し、「ジグザグ行進、いわゆるフランス式デモなど一般公衆に対し迷惑を及ぼすような行為をしないこと」との許可条件が付されたが、これに違反したとして本条例に基づき起訴された。被告人側は、本条例の許可制自体が表現の自由を侵害し、また許可条件の付与も公衆への危害が切迫していない段階での制限として違憲であると主張した。
あてはめ
1. 本条例3条は、公共の安全を危険ならしめる事態が明瞭な場合を除き許可を義務づけており、不許可事由が厳格に制限されている。したがって、本条例は実質的に届出制と同視でき、憲法21条に違反しない。 2. ジグザグ行進やフランス式デモは、公衆との間に摩擦を生じさせ、公衆に対する危害に発展する具体的可能性を内在させている。このような行為を制限・禁止することは、「公衆に対する危害を予防するため」という本条例4条3項の目的に適合し、具体的危害の切迫を待たずとも合理的な範囲で制限を付すことが認められる。
結論
本条例の許可制及びジグザグ行進等の制限条件を付すことは、憲法21条、31条に違反しない。
実務上の射程
公安条例の合憲性を論じる際のリーディングケースの一つ。許可制が実質的な届出制として許容されるための要件(不許可事由の厳格な制限)を示す際に用いる。また、ジグザグ行進の禁止等が表現の自由に対する過度な制限とならない理由として、「危害の予防」という観点を提示する際に有用である。
事件番号: 昭和46(あ)499 / 裁判年月日: 昭和50年9月25日 / 結論: 棄却
一 行進又は集団示威運動に関する条例(昭和二四年愛知県条例第三〇号)四条三項に基づき公安委員会が条件を付するについては、その条件が集団行動による思想の表現それ自体を事実上制約する結果となる場合でない限り、集団行動自体を不許可にするための要件が存在することを必要としない。 二 集団行動につき公安委員会が付した許可条件に違…
事件番号: 昭和28(あ)4841 / 裁判年月日: 昭和35年7月20日 / 結論: 棄却
昭和二五年広島市条例第三二号集団行進及び集団示威運動に関する条例は、憲法第二一条、第一一条、第一三条に違反しない。
事件番号: 昭和48(あ)321 / 裁判年月日: 昭和49年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】日米安保条約の違憲性は、被告人の具体的な行為の違法性判断に影響を及ぼさない限り、上告理由とはならない。また、集団示威運動に関する条例による制約は、憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、愛知県条例(行進又は集団示威運動に関する条例)に違反する行為等の罪に問われた。上告審において、弁護…