判旨
刑事訴訟規則246条に基づき、判決書において控訴趣意書の記載を引用することは、判決に控訴趣意を直接記載したのと同一の効果を生ずるため、訴訟法上の違法とはならない。
問題の所在(論点)
刑事判決書において、控訴趣意の内容を直接記載せず、刑事訴訟規則246条に基づき控訴趣意書の記載を引用する手法が、訴訟法上の判決の記載不備(違法)に該当するか。
規範
刑事訴訟規則246条は、判決書に控訴趣意書に記載された事実を引用し得ることを規定している。この規定に基づき控訴趣意書の記載を判決に引用した場合、それにより判決自体に控訴趣意を記載したのと同一の法的効果を生ずるものと解すべきである。
重要事実
被告人が上告を提起した際、弁護人は「判決書に控訴趣意の記載がないこと」を実質的な理由として、憲法違反および訴訟法違反を主張した。原判決(控訴審判決)では、刑事訴訟規則246条に基づき、控訴趣意書の記載を引用する形式が採られていた。
あてはめ
本件において、原判決は刑事訴訟規則246条に基づき控訴趣意書を引用している。同規則は判決書の簡略化と迅速な裁判を企図して引用を許容しており、引用がなされた以上、判決書に必要な記載がなされたものと評価できる。したがって、控訴趣意を判決本文に自ら記載していないことをもって、直ちに訴訟法違反の違法があるということはできない。
結論
判決書に控訴趣意書の記載を引用することは適法であり、判決に控訴趣意を記載したのと同一の効果を生ずるため、訴訟法違反には当たらない。
実務上の射程
判決書の記載事項(刑訴法335条等)に関する解釈において、規則による引用が実体的な記載と同視されることを示した。答案上は、判決の理由不備や手続の適法性を論ずる際、実務的な処理の正当化根拠として引用可能である。
事件番号: 昭和30(あ)257 / 裁判年月日: 昭和30年6月28日 / 結論: 棄却
刑訴規則第二四六条は、適当と認めるときは、判決書に控訴趣意書に記載された事実を引用することができると規定しているだけで、特に判決書自体に控訴趣意書を添付することを明定していないのであるから、かかる場合における控訴趣意書は判決書の一部をなすものと解すべきでなく(昭和二八年(あ)二五〇二号、同年一〇月一日第一小法廷決定)、…