刑訴規則第二四六条は、適当と認めるときは、判決書に控訴趣意書に記載された事実を引用することができると規定しているだけで、特に判決書自体に控訴趣意書を添付することを明定していないのであるから、かかる場合における控訴趣意書は判決書の一部をなすものと解すべきでなく(昭和二八年(あ)二五〇二号、同年一〇月一日第一小法廷決定)、従つて必ずしも判決書自体に添付することを要するものではない。
刑訴規則第二四六条により引用したる控訴趣意書は常に必ず判決書に添付を要するか
刑訴規則246条
判旨
刑事訴訟規則246条に基づき判決書に控訴趣意書の記載を引用する場合であっても、控訴趣意書は判決書の一部を構成するものではなく、判決書自体に添付することを要しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟規則246条により判決書に控訴趣意書の記載を引用する場合、当該控訴趣意書を判決書の一部として添付する必要があるか。また、添付がない場合に判決の不備として違法となるか。
規範
刑事訴訟規則246条は、裁判所が適当と認めるときは判決書に控訴趣意書に記載された事実を引用することができる旨を規定している。しかし、同条は判決書自体に控訴趣意書を添付することまで明定していない。したがって、引用された控訴趣意書は判決書の一部をなすものではなく、判決書への添付は必須ではない。
重要事実
被告人側は、原判決において控訴趣意書に記載された事実が引用されているにもかかわらず、当該控訴趣意書が判決書自体に添付されていない点につき、訴訟手続の違法(判決書に不備があること等)を主張して上告した。
あてはめ
本件において、原判決は控訴趣意書の記載を引用しているが、刑事訴訟規則246条の解釈によれば、同条は引用を認めるにとどまり、添付まで要求していない。引用された書面が当然に判決書の一部を構成するわけではないため、物理的な添付が欠けていても判決の形式的妥当性に影響を及ぼすものではない。また、原判決は弁護人の控訴趣意を適切に要約して判断を示しており、判断遺脱や理由不備の違法も認められない。
結論
控訴趣意書を引用する場合であっても、必ずしも判決書自体に添付することを要しない。したがって、添付がないことを理由とする上告は理由がない。
実務上の射程
刑事裁判の判決書作成における簡略化(引用)の許容範囲を示すものである。実務上、控訴審判決において事実関係や主張を引用形式で示す際の適法性を支える根拠となるが、答案上は判決の「理由の不備」や「理由の食い違い」(刑訴法378条4号)の文脈で、引用の限界や判決書の構成要素を論じる際に参照される。
事件番号: 昭和28(あ)3082 / 裁判年月日: 昭和28年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟規則246条に基づき、判決書において控訴趣意書の記載を引用することは、判決に控訴趣意を直接記載したのと同一の効果を生ずるため、訴訟法上の違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起した際、弁護人は「判決書に控訴趣意の記載がないこと」を実質的な理由として、憲法違反および訴訟法違反…