刑訴規則二四六条は、適当と認めるときは、判決書に控訴趣意書に記載された事実を引用することができると規定しているだけで、特に判決書自体に添付することを明定していないのであるから、かかる場合における控訴趣意書は判決書の一部をなすものと解すべきでなく、従つて必ずしも判決書自体に添付することを要するものではない(昭和三〇年(あ)二五七号同年六月二八日第三小法廷決定)。
刑訴規則第二四六条により引用したる控訴趣意書は常に必ず判決書に添付を要するか
刑訴規則第246条
判旨
刑事訴訟規則246条に基づく控訴趣意書の引用において、当該趣意書は判決書の一部を構成するものではないため、判決書自体への添付は必須ではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟規則246条により、控訴審判決において控訴趣意書を引用する場合、当該控訴趣意書を判決書自体に添付する必要があるか。引用された書類の判決書における法的性格が問題となる。
規範
刑事訴訟規則246条が判決書への控訴趣意書の引用を認めているのは、裁判の効率化と適当性の観点からである。同条項は引用を許容するにとどまり、引用された控訴趣意書が判決書自体の物理的一部(不可分の一体)となることまでを要請していない。したがって、判決書が適切に趣意書を特定し、その内容を実質的に踏まえている限り、当該趣意書を物理的に判決書に添付する必要はない。
重要事実
本件の上告人は、原判決において刑訴規則246条に基づき控訴趣意書が引用されているにもかかわらず、当該趣意書が判決書自体に添付されていないことを指して、訴訟法上の違法があると主張した。具体的には、引用された文書が判決書の一部をなすべきであるとの前提に立ち、その欠如を形式的な不備として争ったものである。
あてはめ
刑事訴訟規則246条は「適当と認めるとき」に判決書に控訴趣意書を引用できる旨を規定しているに過ぎない。判決書において引用がなされた場合であっても、控訴趣意書自体は独立した訴訟記録として存在しており、引用によって当然に「判決書の一部」という不可分の文書に変化するものではない。本件においても、原判決が適法に趣意書を引用している以上、物理的な添付を欠いていることは判決の有効性や正当性に影響を及ぼすものではないと解される。
結論
判決書に控訴趣意書を引用する場合であっても、必ずしも判決書自体にこれを添付することを要しない。
実務上の射程
控訴審判決の形式的有効性に関する判断である。答案上は、判決の理由不備や形式的違法が問われる場面において、規則246条の運用の限界(引用の形式的要件)を示す際に活用できる。ただし、実務上の便宜に基づく判決書の作成方法に関する判示であるため、実体的な判断に影響する性質のものではない点に注意が必要である。
事件番号: 昭和28(あ)3082 / 裁判年月日: 昭和28年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟規則246条に基づき、判決書において控訴趣意書の記載を引用することは、判決に控訴趣意を直接記載したのと同一の効果を生ずるため、訴訟法上の違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起した際、弁護人は「判決書に控訴趣意の記載がないこと」を実質的な理由として、憲法違反および訴訟法違反…