控訴趣意を引用する旨の上告趣意書の適法性
刑訴法386条1項2号
判旨
上告趣意書において、具体的理由を記載せず単に控訴趣意書を引用する手法は、刑事訴訟法が定める上告趣意の提示として不適法である。
問題の所在(論点)
刑訴法上、上告趣意書において控訴趣意書を全面的に引用するのみで、具体的な趣意内容を自ら示さない記載方法が、適法な上告趣意の主張(刑訴法414条、386条1項2号)として認められるか。
規範
上告趣意書には、刑訴法が定める上告理由を具体的に記載しなければならず、単に「控訴趣意と同一であるからこれを引用する」旨を記載し、上告趣意書自体にその趣意内容を示さないことは、適法な上告趣意の主張とは認められない。
重要事実
被告人の弁護人が上告趣意書を提出したが、その内容は「控訴趣意と同一であるからこれを引用する」という記述に留まっており、上告趣意書自体に具体的な不服の理由や趣意内容が示されていなかった。
あてはめ
本件弁護人の上告趣意は、単に控訴趣意を引用するに帰しており、書面自体からは何ら具体的な上告理由が判明しない。これは、事後審としての上告審の構造に照らし、憲法違反や判例相反等の具体的な上告理由を明示すべき書面としての要件を欠いているといえる。
結論
本件上告は不適法であるため、刑訴法414条、386条1項2号により棄却される。
実務上の射程
上告審は書面審理が原則であり、趣意書の記載自体から適法な上告理由が把握できなければならない。実務上、控訴趣意の単なる流用は上告趣意書の不提出(または不適法な提出)と同一視されるリスクがあるため、答案上は形式的要件の遵守の重要性を示す判例として引用しうる。
事件番号: 昭和46(あ)1833 / 裁判年月日: 昭和46年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意における憲法違反の主張は、原判決の具体的な違憲箇所および理由を特定しない限り、適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人側(弁護人)が、原判決に対して憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、その趣旨において、原判決の具体的な判断内容と憲法条項との抵触関係が明確に示され…