判旨
刑法18条の労役場留置規定は憲法14条の平等原則に違反せず、また実刑判決により被告人の家族が生活困難に陥るとしても憲法25条の生存権規定に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 刑法18条による労役場留置が憲法14条の平等原則に違反するか。 2. 被告人に対する実刑判決が、その家族の生活困窮を理由に憲法25条に違反するか。
規範
罰金不納の場合の労役場留置は、金銭債務の履行を強制し、かつ罰金刑の実効性を担保するための合理的な制度であり、憲法14条に違反しない。また、正当な刑事罰の執行に伴って生じる家族の生活困窮は、国家の直接的な権利侵害ではなく、憲法25条の違反を構成しない。
重要事実
被告人が刑事事件により有罪判決(実刑および罰金刑)を受けた。被告人側は、罰金が払えない場合に労役場に留置されることは平等原則(憲法14条)に反し、また、自身に実刑が科されることで家族が生活困難に陥ることは生存権(憲法25条)を侵害するものであるとして上告した。
あてはめ
1. 労役場留置については、先行する大法廷判決の趣旨に従い、経済的資力による差別ではなく、刑罰の執行を確保するための合理的手段であると判断される。2. 被告人の家族が生活困難になる点については、先行の判例に基づき、適法な手続による刑事罰の副次的な結果にすぎず、憲法が保障する生存権の侵害には当たらないと解される。
結論
本件各上告を棄却する。労役場留置および実刑判決は、いずれも憲法14条および25条に違反しない。
実務上の射程
人権論における『刑事罰と憲法』の関係を整理する際に有用。特に、罰金刑の不払いに対する制裁の合憲性や、第三者(家族)への反射的利益・不利益が基本権侵害を構成するかという論点において、否定的な結論を導く際の根拠となる。
事件番号: 昭和25(あ)1586 / 裁判年月日: 昭和27年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に実刑を科することが直ちに憲法13条に違反するものではなく、また、実刑判決によりその家族が生活困難に陥るとしても憲法25条に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人は刑事事件において実刑判決を受けたが、これに対し弁護人は、実刑の言い渡しが憲法13条(生命権の尊重等)および憲法25条(…
事件番号: 昭和26(あ)1808 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罰金不納の場合における労役場留置を定めた刑法18条は、憲法14条の法の下の平等に違反しない。経済的理由により労役場留置を余儀なくされるとしても、それは法の適用に伴う事実上の結果にすぎない。 第1 事案の概要:被告人は罰金刑を科されたが、これに対する上告において、罰金を納付できない場合に労役場に留置…