判旨
公判調書の記載に基づいて第一審の訴訟手続の適法性が認められる場合には、当該公判調書の内容を理由として訴訟手続の違背を主張することは、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
第一審の裁判所の構成、審判の公開、およびその他の訴訟手続に関して違法があるとする主張が、刑事訴訟法上の適法な上告理由(405条等)に該当するか。
規範
刑事訴訟法405条各号に掲げる事由に該当しない事項や、公判調書の記載により適法性が確認できる訴訟手続の瑕疵の主張は、適法な上告理由を構成しない。また、憲法違反を主張する場合であっても、刑事訴訟法414条・377条が要求する保証書等の形式的要件を欠く場合は、不適法な主張となる。
重要事実
被告人が第一審裁判所の構成の違法、審判公開に関する違法、およびその他の訴訟手続の違背を理由として上告を申し立てた事案。弁護人はこれらが憲法に違反する旨を主張したが、一部の主張については刑事訴訟法が定める保証書の添付がなく、また公判調書の記載内容からは手続の違法は認められない状況であった。
あてはめ
まず、裁判所の構成および審判公開に関する違法については、法414条・377条所定の保証書が添付されておらず、手続的要件を欠いている。次に、審判の公開およびその他の訴訟手続の違背については、公判調書の記載内容に照らせば、原判決の説示通り違法があるとはいえない。したがって、公判調書によって適法性が裏付けられている以上、これに反する事実を前提とした主張は上告理由として採用し得ない。
結論
本件各上告趣意は適法な上告理由に当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
公判調書の証明力(刑訴法52条)に関連し、調書に記載された手続の適法性を争うことの困難さを示す一例である。答案上は、上告理由の適格性や、公判調書の記載内容を前提とした事実認定の重要性を論じる際の補助的論拠として機能する。
事件番号: 昭和28(あ)3316 / 裁判年月日: 昭和28年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴状の朗読は公判調書の必要的記載事項ではなく、朗読の事実が立証されない限り訴訟手続の法令違反とは認められない。また、選挙運動の報酬に実費が含まれていても、それが報酬としての性質を有する限り供与罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、選挙運動の報酬として金員を供与したとして起訴された…