判旨
複数の過失が競合して結果が発生した場合、一方の者に過失責任があることをもって、直ちに他方の者の過失責任が否定されるものではない。
問題の所在(論点)
火災の結果発生につき、第三者(配電会社)に過失責任が認められる場合、そのことをもって被告人の過失責任が直ちに否定されるか。過失の競合がある場合における刑事責任の帰属が問題となる。
規範
過失犯における因果関係や責任の存否は、被告人の行為と結果との間の個別的な関連性により判断される。したがって、第三者の過失が介在し、当該第三者に結果発生の責任が認められる場合であっても、それが被告人の過失行為と結果との間の因果関係を遮断し、または被告人の注意義務違反を消滅させるものではない限り、被告人は依然として刑事責任を免れない。
重要事実
本件は火災事故に関する事案である。原判決では、証人Aの証言を採用し、配電会社に本件火災についての責任があると認定した。被告人側は、配電会社側に責任があることを理由に、被告人自身の責任が否定されるべきであると主張して上告した。
あてはめ
原判決において、配電会社側に火災発生の責任があることは事実として認められている。しかし、被告人の行為と火災発生との間に因果関係があり、かつ被告人に過失が認められる場合には、配電会社の責任の有無にかかわらず被告人の責任は肯定されるべきである。配電会社の過失は被告人の責任を即座に消滅させる要素ではなく、両者の過失が併存し、共同して結果を招いたものと評価できるため、被告人に責任がないとは即断できない。
結論
第三者に過失責任があるからといって、被告人に全然責任がないと即断することはできない。したがって、被告人の刑事責任を認めた原判決は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
過失の競合に関する極めて簡潔な判示であるが、実務上は、被害者や第三者に過失がある場合に被告人の過失が「相殺」されて免責されるわけではないことを示す根拠として活用できる。答案上は、相当因果関係の判断において、第三者の過失の介入が結果発生の寄与度としてどの程度支配的であったかを検討する際の前置きとして有用である。
事件番号: 昭和27(あ)1959 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白以外に複数の証拠が存在し、それらを総合して犯罪事実を認定している場合には、自白のみによる事実認定を禁じた憲法38条3項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは過失の点について自白をしていた。第一審判決は、この自白以外にも幾多の証拠を挙げており、これらを総合して過失および犯罪…