判旨
焚火を原因とする火災において、第一審判決が認定した事実関係に基づき、本件焚火と火災との間の因果関係を肯定した判断は相当である。憲法違反等の主張は実質的に単なる法令違反や事実誤認の主張に過ぎず、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
火災の発生原因が被告人の焚火にあるとした原判決の判断、すなわち行為と結果との間の因果関係の存否およびその認定プロセスの適否が、適法な上告理由となり得るか。
規範
特定の先行行為(本件では焚火)と結果(本件では火災)との間に因果関係が認められるか否かは、証拠に基づき認定された事実関係に照らし、当該行為から当該結果が生じることが経験則上相当といえるかによって判断される。
重要事実
被告人が行った焚火を原因として火災が発生したとされる事案である。第一審判決は、本件焚火が火災の原因であると認定したが、被告人側はこれに対し、憲法37条2項後段(証人喚問権等)や憲法76条3項(裁判官の職権行使の独立)への違反を形式的に主張しつつ、実質的には因果関係の認定に係る事実誤認や法令違反を理由として上告した。
あてはめ
判決文によれば、被告人の主張は憲法違反を冠しているものの、その実態は事実誤認や単なる法令違反の主張に留まる。本件火災が本件焚火を原因とするものであるという第一審の事実認定を維持した原判決の判断は、提出された証拠関係に照らして相当であると認められる。したがって、因果関係の認定に不合理な点はなく、上告理由を構成するような憲法違反等の事由は存在しない。
結論
本件焚火と火災との間の因果関係を認めた判断は正当であり、適法な上告理由がないため、上告は棄却される。
実務上の射程
具体的な因果関係の認定が争点となる事案において、下級審の事実認定が経験則に反せず相当である限り、最高裁はそれを維持する姿勢を示すものである。答案上は、因果関係の存否が証拠に基づく事実認定の問題であることを示す一例として参照し得るが、本判決自体は決定形式の簡潔な判示であるため、規範の詳細な展開には他の主要判例を併用すべきである。
事件番号: 昭和42(あ)1190 / 裁判年月日: 昭和42年10月12日 / 結論: 棄却
高圧ガス販売業者が顧客の店舗内にプロパンガス容器およびその付属設備を設置した場合において、その設置方法に過失があつたため火災を発生させたときは、業務上失火罪が成立する。