判旨
酒税法における「醪(もろみ)」と「濁酒(どぶろく)」の区別について、原判決に採証法則違背等の違法がない限り、上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
酒税法違反の成否において、押収された液体が「醪」であるか「濁酒」であるかの区別およびその認定過程に違法があるか。
規範
判決文からは直接的な規範の判示は不明であるが、引用されている最二小決昭28.5.29(判例集7巻5号1146頁)によれば、酒税法上の「濁酒」とは、米、麹及び水を原料として発酵させた後、これを濾さないものをいい、「醪」は酒類を醸造する過程においてまだ濾過されるに至らない状態のものを指すと解される。
重要事実
被告人が酒税法違反に問われた事案において、第一審判決が認定した事実に関し、弁護人が「醪(もろみ)」と「濁酒(どぶろく)」の区別についての判断に誤りがあるとして、採証法則の違背や事実誤認を主張して控訴・上告したもの。
あてはめ
最高裁は、原判決が「第一審判決に判決に影響を及ぼすような採証法則の違背や虚無の証拠による事実認定は認められない」と述べるに留まっている点を指摘。原判決自体は醪と濁酒の区別について具体的な判断を示していないため、弁護人の主張は原判決の内容に副わない不適法な上告理由(刑訴法405条3号)であると判断した。なお、実体的な差異については、先行する昭和28年5月29日の決定を参照すべきとしている。
結論
本件上告は棄却される。原判決に事実認定上の違法はなく、醪と濁酒の区別の判断に誤りがあるとの主張は適法な上告理由とならない。
実務上の射程
酒税法上の「酒類」の該当性判断において、製造過程にある「醪」と完成品に近い「濁酒」の区別が論点となる際、事実認定の適法性を争うための手続的限定(上告理由の適格性)を示す際に活用される。
事件番号: 昭和28(あ)5605 / 裁判年月日: 昭和30年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴状の記載に照らして、判決における犯行態様の判示が米、麹及び水を原料として濁酒又は清酒を製造したという趣旨であることが明らかであれば、判決に法令違反の瑕疵はない。 第1 事案の概要:被告人が濁酒または清酒を製造したとして酒税法違反等で起訴された事案。第一審判決の記載において、製造の具体的態様に関…