醪は濁酒と異なり必ずしも酒税法第六条に規定する原料によつて製造するものではなく、また醗酵前のものをも汎称するのであつて、単に用途、目的の差異のみによつて濁酒と区別すべきではない。
醪と濁酒との差異
酒税法6条,酒税法60条1項
判旨
酒税法における「醪(もろみ)」は、必ずしも濁酒(どぶろく)の原料により製造されるものに限られず、発酵前のものも含む概念であり、用途や目的の差異のみによって区別されるものではない。
問題の所在(論点)
酒税法上の「醪」の意義、および「醪」と「濁酒」を区別するにあたって用途や目的の差異を基準とすることの是非が問題となった。
規範
「醪」は、酒税法上の原料(同法6条等)に限定されるものではなく、発酵の段階に至る前のものも包含する広義の概念として解釈される。したがって、客観的な性質によって判断されるべきであり、用途や目的といった主観的要素のみをもって他の区分(濁酒等)と区別することは相当ではない。
重要事実
第一審において、被告人が所持していた物件が証拠に基づき「醪」であると認定された。これに対し被告人側は、当該物件は「濁酒」にあたると主張し、原審(控訴審)が醪と濁酒を用途・目的のみによって区別した判断には酒税法の解釈の誤りがあると主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、原判決が「用途や目的の差異のみによって区別すべき」とした点は酒税法の解釈として不適当であると指摘した。しかし、事案の本質においては、第一審が証拠に基づき当該物件を「醪」と認定した事実関係を原審が肯定しており、弁護人の主張は実質的に事実誤認の主張(刑訴法405条の上告理由に該当しないもの)にすぎないと判断した。
結論
被告人の物件を「醪」と認定した原判決に憲法違反や重要な判例違反等の上告理由は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
酒税法違反の事案において、物件が「醪」に該当するか否かは、その製造過程や発酵状態等の客観的属性によって判断される。実務上は、定義規定の解釈において用途や目的といった主観的・動態的要素を過重視せず、性質上の実態に即して判断すべきことを示す。ただし、本判決自体は上告理由の適否に主眼があるため、認定事実を覆すハードルの高さも示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)1114 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】差押調書に記載された焼酎の容器(瓶、樽、罐)および内容量の具体的な状況から、酒類製造の事実を認定できるとした原判決に違法はない。 第1 事案の概要:被告人が酒類(焼酎)を製造したとして起訴された事案において、第一審判決は差押調書等の証拠を挙げた。当該調書には、四号焼酎瓶1本(満杯)、二斗樽2個(満…