判旨
酒税法違反等の事案において、差押物件が酒類に該当するか否かは、鑑定書等の証拠に基づき、酒精分の含有量等の客観的属性を照合することで判断される。
問題の所在(論点)
差押物件である液体が、酒税法等の適用対象となる「酒類」に該当すると認めるための認定手法が問題となった。
規範
特定の液体が法的な「酒類」に該当するか否かは、鑑定書等の証拠資料に基づき、アルコール分(酒精分)の含有量などの科学的・客観的数値を照らし合わせることで決せられる。
重要事実
被告人が所持・製造等に関与したとされる合計七斗の液体について、酒税法上の「酒類」にあたるかが争点となった。被告人は、当該液体が焼酎(酒類)であると断定できないと主張して上告した。
あてはめ
本件における差押物件明細書に記載された四点の液体(合計七斗)について、鑑定書の符号(イ、ロ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ)の記載内容と照合したところ、すべて酒精分四度以上を含んでいることが判明した。このように、専門的な鑑定結果によって客観的に酒精分が確認される以上、当該液体はすべて酒類であると認められる。
結論
本件の液体はすべて酒類であると認められるため、事実誤認を理由とする上告は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
証拠裁判主義(刑訴法317条)に基づき、物件の性質を認定するにあたって鑑定書等の客観的証拠を重視する姿勢を示すものである。実務上は、違法製造酒類等の認定において、鑑定結果と差押物件の同一性・属性の照合が決定的な役割を果たすことを再確認する文脈で参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)1261 / 裁判年月日: 昭和28年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】清酒等の密造事件において、酒税法に基づき没収の対象となる物件は、現に製造の用に供されたもののみならず、その製造の用に供しようとした物件も含まれる。また、被告人以外の所有に属することが明らかな物件でない限り、適法に没収することができる。 第1 事案の概要:被告人は酒類の無免許製造(密造)を行ったとし…