判旨
差押調書に記載された焼酎の容器(瓶、樽、罐)および内容量の具体的な状況から、酒類製造の事実を認定できるとした原判決に違法はない。
問題の所在(論点)
差押調書に記載された酒類および容器の現存状況に関する証拠のみから、被告人による酒類製造の事実を認定することが許されるか(事実誤認の有無)。
規範
犯罪事実の認定は、証拠能力のある証拠に基づき、論理法則および経験則に従った合理的な証拠評価によって行われなければならない。
重要事実
被告人が酒類(焼酎)を製造したとして起訴された事案において、第一審判決は差押調書等の証拠を挙げた。当該調書には、四号焼酎瓶1本(満杯)、二斗樽2個(満杯および9升入)、五升入罐1個(満杯)、およびこれらを合算した焼酎約4斗3升の存在が記載されていた。
あてはめ
差押調書によれば、現場には焼酎が満たされた瓶、樽、罐といった複数の容器が存在し、その総量は約4斗3升という多量に及んでいた。このような客観的な存在態様および数量を総合すれば、被告人が判示の日時頃に前後9回にわたって当該焼酎を製造したという事実は、経験則上、十分に推認可能である。したがって、これらの証拠から製造事実を認定した原判決の判断に論理的矛盾はない。
結論
被告人が前後9回にわたって焼酎を製造した事実を認めた原判決の認定は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
具体的な製造行為の直接証拠がない場合でも、現場に残された製品の数量や保管状況という客観的事実(間接事実)を総合することで、実行行為の存在を推認できることを示した事例。刑事訴訟法上の事実認定における自由心証説の範囲を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和26(あ)4530 / 裁判年月日: 昭和28年3月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審で主張も判断もされていない事項を新たに上告理由とすることは不適法であり、事実誤認や量刑不当の主張は適法な上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人が焼酎の密造未遂罪で処罰された事案において、弁護人が上告を提起した。弁護人は、(1)原審で主張・判断されていない事項、(2)事実誤認および訴訟…