第一審判決は仕込原料の量の記載が適切でないだけで製造した焼酎の量において起訴状と異るところはない。それ故、刑訴四一一条一号、三号を適用すべきものとは認められない
刑訴法第四一一条にあたらない一事例。―酒税法違反(焼酎製造)における事認定―
酒税法7条,酒税法54条,刑訴法411条
判旨
起訴状に記載された仕込原料の量に誤りがあったとしても、製造された焼酎の量において起訴事実との同一性が保たれている限り、判決に影響を及ぼすような法令違反や著しい事実誤認は認められない。
問題の所在(論点)
起訴状に記載された仕込原料の量と判決で認定された事実に齟齬がある場合、それが刑事訴訟法405条の上告理由、あるいは同法411条1号(判決に影響を及ぼすべき法令の違反)や3号(著しい事実誤認)に該当するか。
規範
訴因の特定及び事実認定において、付随的な事実(原料の量等)に相違があったとしても、犯罪の構成要素となる主要事実(製造された物品の量等)において起訴状の記載と同一性が認められるならば、刑事訴訟法411条各号に該当するような事後審での破棄事由には当たらない。
重要事実
被告人が焼酎を密造したとされる事案において、第一審判決では仕込原料の量の記載が不適切であった。しかし、実際に製造された焼酎の量については、起訴状の記載内容と判決が認定した事実との間に相違はなかった。
あてはめ
本件では第一審判決における仕込原料の量の記載が適切ではなかったものの、処罰の対象となる製造された焼酎の量自体は起訴状の記載と異なるところがない。したがって、訴因の核心部分に変更はなく、被告人の防御に実質的な不利益を生じさせるような重大な事実誤認や法令違反があるとはいえない。
結論
本件の上告は、単なる法令違反・事実誤認の主張にすぎず上告理由に当たらない。また、職権による破棄を要する事情も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
訴因の特定における「事実」の程度に関する判断。主要事実(本件では製造量)が合致していれば、付随的事実(原料量)の不一致は直ちに判決の違法を構成しないことを示しており、訴因変更の要否や判決の妥当性を検討する際の基準となる。
事件番号: 昭和26(あ)1114 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】差押調書に記載された焼酎の容器(瓶、樽、罐)および内容量の具体的な状況から、酒類製造の事実を認定できるとした原判決に違法はない。 第1 事案の概要:被告人が酒類(焼酎)を製造したとして起訴された事案において、第一審判決は差押調書等の証拠を挙げた。当該調書には、四号焼酎瓶1本(満杯)、二斗樽2個(満…