判旨
控訴審において、原判決が第一審判決を破棄して自ら量刑を判断する場合、弁護人の量刑不当に関する控訴趣意への個別的判断を省略しても違法ではない。
問題の所在(論点)
控訴審において第一審判決を破棄し自ら判決(自判)を行う際、控訴趣意として主張された量刑不当の主張に対する判断を省略することが許されるか(刑事訴訟法に基づく判決理由の備備の問題)。
規範
控訴審判決において、第一審判決を破棄した上で裁判所が自ら量刑処断を行う場合、控訴理由として主張された量刑不当の趣意に対しては、判決の結論自体がその判断を示すものとなるため、別途個別の判断を付すことを省略しても、裁判の適正は損なわれず適法である。
重要事実
被告人が第一審判決の量刑を不服として控訴し、弁護人は量刑不当を主張した。原審(控訴審)は、第一審判決を破棄した上で、自ら改めて量刑を決定した。しかし、その判決において弁護人が主張した量刑不当の控訴趣意に対する具体的な判断(理由)が省略されていたため、弁護人はこれが違法であるとして上告した。
あてはめ
原判決は第一審判決を破棄しており、裁判所が自らの裁量によって改めて量刑を決定している。この自判の手続き自体が、第一審の量刑を不当とする控訴趣意を包含し、実質的な判断を完了しているといえる。したがって、独立して控訴趣意に対する是非を判示しなかったとしても、審理を尽くしていない等の違法があるとは解されない。
結論
原判決に違法はなく、量刑に関する控訴趣意への判断省略は正当である。本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法上の判決理由の記載程度に関する判例。破棄自判のケースでは、控訴理由に対する個別の排斥理由を述べずとも、自判の結果がそれに応答したものとみなされる実務的運用を肯定している。
事件番号: 昭和27(あ)2528 / 裁判年月日: 昭和28年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審が第1審判決を破棄し自ら量刑処断を行う場合、控訴趣意のうち量刑不当の主張に対する判断を省略することは正当であるが、その他の論旨に対する判断省略は違法である。ただし、当該論旨が判決に影響を及ぼさず、破棄差し戻しの事由がないことが明らかな場合は、刑訴法411条を適用して破棄する必要はない。 第1…