判旨
被告人が不在の場で行われた公判期日外の証人尋問であっても、弁護人が立ち会い反対尋問の機会が確保され、かつ後の公判期日で被告人に反対尋問の機会が与えられたのであれば、証拠調手続に違法はない。
問題の所在(論点)
被告人が立ち会っていない公判期日外の証人尋問調書を証拠とすることが、被告人の証人審問権(憲法37条2項)および適正な証拠調手続(刑訴法157条、158条等)に照らして許されるか。
規範
被告人が公判期日外の証人尋問に立ち会えなかった場合であっても、弁護人が立ち会い反対尋問権を行使しており、かつ、その後の公判期日において当該証人に対する被告人自身の反対尋問の機会が実質的に保障されているのであれば、憲法37条2項及び刑事訴訟法の定める証拠調手続として適法である。
重要事実
被告人が東京拘置所に拘禁中、千葉刑務所に収容されていた証人A及びBに対し、受命裁判官等による公判期日外の証人尋問が行われた。被告人はこの尋問に立ち会えなかったが、弁護人が立ち会い反対尋問を行った。その後、公判期日において当該尋問調書が証拠提出され適法な証拠調べが行われた。さらに、後に当該両証人は公判廷に召喚され、被告人に対して直接反対尋問をする機会が与えられた。
あてはめ
本件では、被告人は身体拘束等の事情により期日外尋問に立ち会っていないが、弁護人が立ち会って反対尋問を現に行っている。また、当該調書は公判期日にて適法に証拠調べがなされている。加えて、後に被告人自身が公判廷で当該証人らを直接尋問する機会を得ていることから、被告人の防御権および証人審問権は実質的に保障されているといえる。
結論
本件の証拠調手続に違法はなく、当該尋問調書を証拠とした第一審判決は正当である。
実務上の射程
被告人の立会権が制限された状況での証拠収集の可否に関する判断枠組み。弁護人による代行的保障と、後の公判での「追完」的な直接尋問の機会の有無が、手続の適法性を左右する重要な要素となる。答案上は、伝聞例外や証人尋問の手続的瑕疵の治癒を論じる際の論拠として利用できる。
事件番号: 昭和28(あ)2343 / 裁判年月日: 昭和28年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項の「すべての証人」とは被告人が喚問を欲する全証人を指すわけではなく、被告人が拘禁されている場合、特別の事情がない限り、弁護人に立会いの機会を与えれば被告人自身を立ち会わせなくても同条に違反しない。 第1 事案の概要:原審は職権で証人A及びBの喚問を決定し、山口地裁萩支部に尋問を嘱託し…
事件番号: 昭和27(あ)3156 / 裁判年月日: 昭和29年4月15日 / 結論: 棄却
一 鑑定の目的物を破壊するについて、刑訴第一六八条所定の裁判所の許可を受けなかつた場合でも、右処置に対し当該強制処分の対象となつた者から異議がなされていない以上、その鑑定の証拠能力を否定すべき理由はない。 二 軽犯罪法第一条第一九号は、正当の理由なくして変死体又は死胎の現場を変える行為を取り締ろうとする法意であつて、故…