憲法三八条三項の「本人の自白」の中には共犯者の自白は含まれていないのであつて、共犯者の供述が補強証拠となり得ることは当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)七七号同二四年五月一八日大法廷判決、昭和二三年(れ)一一二号同年七月一四日大法廷判決)。
共犯者の供述と補強証拠。
刑訴法319条2項,憲法38条3項
判旨
憲法38条3項にいう「本人の自白」には共犯者の自白は含まれず、共犯者の供述は被告人の自白の補強証拠となり得る。
問題の所在(論点)
憲法38条3項にいう「本人の自白」に、共犯者の供述(自白)が含まれるか。また、共犯者の供述を被告人の自白の補強証拠とすることができるか。
規範
憲法38条3項の「本人の自白」とは、当該被告人自身の自白を指す。したがって、共犯者の供述については、同条項の自白に含まれない。また、共犯者の供述は、被告人の自白に対する補強証拠となり得る。
重要事実
被告人が特定の犯罪について起訴された際、その有罪認定の根拠として、被告人本人の自白のほかに、共犯者の供述が証拠として用いられた。弁護人は、共犯者の供述が憲法38条3項の「本人の自白」に含まれることを前提に、補強証拠なしに自白のみで処罰することは憲法違反である旨を主張して上告した。
あてはめ
憲法38条3項の文言上、「本人の自白」とは被告人自身の自白を限定的に指すものと解される。本件において、証拠とされたのは共犯者の供述であり、これは「本人の自白」そのものではない。したがって、共犯者の供述を被告人の自白を補強する証拠として採用することは、憲法が禁ずる「自白のみによる処罰」には該当せず、証拠能力および証明力の判断において許容される。
結論
共犯者の自白は憲法38条3項の「本人の自白」には含まれない。よって、共犯者の供述を補強証拠として被告人を有罪とすることは憲法に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟法319条2項の「自白」の解釈においても同様に扱われる。実務上、共犯者の供述に補強証拠としての適格性を認める重要判例であり、答案上は自白の補強法則の限界を論じる際に、文言解釈の根拠として引用する。
事件番号: 昭和28(あ)2713 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、昭和25年11月29日大法廷判決の趣旨を再確認し、被告人の自白のみに基づき犯罪の証明がなされたとしても、憲法38条3項等に違反しないことを示し、上告を棄却した。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪の判決を受けたが、その有罪認定が被告人の自白のみに基づくものであり、憲法38条3…
事件番号: 昭和57(あ)568 / 裁判年月日: 昭和57年7月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白について、原判決が認定に用いた他の証拠によって十分な補強がなされている場合には、憲法38条3項(自白のみによる処罰の禁止)に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の自白が存在し、それに基づき有罪判決が下された事案において、弁護人が「自白は補強されていない」として、憲法38条3項違反(補…
事件番号: 昭和28(あ)139 / 裁判年月日: 昭和28年7月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項が自白に補強証拠を要求する趣旨は、客観的事実の実在を担保することにあるため、主観的要素である知情(故意)の点については、特段の補強証拠を要しない。 第1 事案の概要:被告人は犯罪事実について自白していたが、弁護人は、被告人の主観的な知情(故意)の点について自白を補強する証拠が欠けてい…