判旨
共同被告人の公判廷における供述や、被告人自身の公判調書記載の供述を総合することにより、贈賄罪の事実認定を行うことは適法である。また、併合罪の関係にある一部の罪について大赦があった場合には、当該事実について免訴を言い渡した上で、残余の罪について刑を量定すべきである。
問題の所在(論点)
1. 共同被告人の供述や被告人自身の公判における供述に基づき、贈賄罪の事実を認定できるか。2. 併合罪の関係にある罪の一部について大赦があった場合、裁判所はどのような措置を講ずべきか。
規範
1. 犯罪事実の認定は、公判廷における共同被告人の供述や被告人自身の供述等の証拠を総合して行うことができる。2. 併合罪として処断された数罪のうち、一部について大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき当該部分について免訴を言い渡さなければならない(刑訴法337条1号参照)。
重要事実
被告人は贈賄罪および物価統制令違反の罪で起訴され、原審において併合罪として処断された。被告人側は、贈賄の事実に証拠がないこと、および第1審の検察官冒頭陳述における事実を被告人が認めたことを証拠とした採証の法則違反などを主張して上告した。また、上告審の審理中に、物価統制令違反の事実について昭和27年政令第117号大赦令による大赦が実施された。
あてはめ
1. 記録によれば、第1審公判廷における共同被告人2名の各供述と、被告人自身の公判調書記載の供述を併せれば、贈賄の事実は優に認定可能であり、証拠に基づかない事実誤認の主張は当たらない。2. 被告人の物価統制令違反の事実については大赦があったため、刑訴法施行法、刑訴法411条5号、旧刑訴法等の規定に従い、原判決を破棄し、当該事実について免訴を言い渡す必要がある。3. 残る贈賄の事実(刑法198条、60条)については、懲役刑を選択した上で、犯情に鑑み執行猶予を付すのが相当である。
結論
贈賄の事実は適法に認定される。物価統制令違反については免訴とし、贈賄罪について懲役3月、執行猶予2年を言い渡す。
事件番号: 昭和26(れ)2292 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で当該部分を調査し、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(人造絹織物の不当高価買受・販売)および贈賄の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。上告審継続中に昭和27年政令第117号および第87号により、…
実務上の射程
刑事訴訟における共同被告人の供述の証拠能力および証明力の評価に関する判断枠組みを示すとともに、上告審において大赦等により刑の廃止や免除が生じた場合の職権調査および免訴手続の実務上の処理を確認するものである。
事件番号: 昭和27(れ)24 / 裁判年月日: 昭和28年1月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】供述が強制によるものであると認められない限り、当該供述を事実認定の証拠に採用することは適法であり、憲法31条等の適正手続に反しない。また、贈収賄罪の成立において、大赦の対象となった他の犯罪事実と併合罪の関係にあっても、当該贈収賄の罪責は免れない。 第1 事案の概要:被告人Aは収賄、被告人Bは贈賄の…
事件番号: 昭和27(れ)78 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦(昭和27年政令第117号等)があった場合、被告人に対し免訴を言い渡すべきである。また、旧刑法下における連続犯であっても、各罪につき刑法及び特別法を適用し併合罪として処断する。 第1 事案の概要:被告人はB商事株式会社の取締役社長であり、事務員Cと共謀して、昭和21年から昭和22年にかけて以下…
事件番号: 昭和27(あ)3021 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の複数の犯罪事実のうち、一部の罪についてのみ大赦があった場合、大赦のあった部分については免訴とし、それ以外の罪については改めて刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人の複数の犯罪事実について第一審及び原判決がなされたが、上告審の継続中に昭和27年政令117号大赦令が公布された。被告…
事件番号: 昭和25(あ)1916 / 裁判年月日: 昭和27年11月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について政令による大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の罪数関係にある罪については、別途刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令3条違反の罪および刑法198条の贈賄罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた…