判旨
大赦令が公布・施行された場合、大赦の対象となった公訴事実については刑事訴訟法に基づき免訴の言渡しをすべきである。一方、大赦の対象外である他の罪数については、確定した事実に基づき刑を科すのが相当である。
問題の所在(論点)
上告中に大赦があった場合、裁判所はどのような措置を講ずべきか。また、複数の公訴事実のうち一部のみが大赦の対象である場合の処理が問題となる。
規範
特定の公訴事実について大赦令(本件では昭和27年政令第117号)が発せられた場合、当該事実については刑事訴訟法(施行法及び旧法を含む)に基づき、免訴の言渡しをしなければならない。一方、大赦の対象とならない別個の犯罪事実については、証拠により確定された事実に基づき、刑法等の規定を適用して処断する。
重要事実
被告人は臨時物資需給調整法違反および刑法246条1項(詐欺罪)の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。上告中に「大赦令(昭和27年政令第117号)」が施行された。被告人には累犯に該当する前科が存在していた。
あてはめ
臨時物資需給調整法違反の点については、大赦令によって大赦があったことが職権調査により判明した。そのため、刑事訴訟法施行法2条・3条の2、刑訴法411条5号に基づき、原判決を破棄した上で、同事実について免訴を言い渡すべきである。これに対し、詐欺罪(刑法246条1項、60条)については大赦の対象外であり、前科による累犯加重(刑法56条1項、57条)を適用した上で、懲役1年に処するのが相当である。
結論
原判決を破棄する。臨時物資需給調整法違反については免訴とし、詐欺罪については被告人を懲役1年に処する。
実務上の射程
事件番号: 昭和26(あ)3243 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人らの所為につき、臨時物資需給調整法違反の点については大赦令の施行により免訴とされるべきであるが、刑法上の詐欺罪が成立する部分については、共同正犯として処断し、累犯加重等を適用した上で有罪とする。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告人Bは、第一審において臨時物資需給調整法違反および詐欺罪の事…
訴訟係属中に大赦があった場合の必要的免訴事由(刑訴法337条1号等)の運用を示す。実務上、法令の改廃や恩赦等による訴訟条件の変動は職権調査事項であり、裁判所は判決においてこれを反映させる義務があることを確認する事例である。
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…
事件番号: 昭和27(あ)2732 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】原判決後に大赦令が公布された場合、刑事訴訟法411条5号に基づき職権で原判決を破棄し、大赦の対象となった事実については免訴を言い渡すべきである。その他の罪については、併合罪として処断し、罰金刑を選択した上で適正な刑を科すのが相当である。 第1 事案の概要:被告人は、石油製品の違反譲渡(石油製品配給…
事件番号: 昭和27(あ)606 / 裁判年月日: 昭和27年12月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石…
事件番号: 昭和27(あ)2473 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により免訴事由が生じた場合、最高裁判所は職権で原判決を破棄し、免訴の言い渡しをすべきである。また、併合罪の一部に免訴事由があり、他の罪について有罪を維持する場合は、免訴部分を切り離して残余の罪について刑を再画定する。 第1 事案の概要:被告会社および被告人Aは、マシン油・モビール油の買…