判旨
被告人らの所為につき、臨時物資需給調整法違反の点については大赦令の施行により免訴とされるべきであるが、刑法上の詐欺罪が成立する部分については、共同正犯として処断し、累犯加重等を適用した上で有罪とする。
問題の所在(論点)
上告審において大赦があった場合、臨時物資需給調整法違反の公訴事実はどのように扱われるべきか。また、大赦の影響を受けない詐欺罪の事実について、被告人らの刑事責任はどのように判断されるべきか。
規範
刑法246条1項(詐欺罪)および同法60条(共同正犯)の成否、ならびに大赦令の発布に伴う訴訟条件(刑事訴訟法337条3号)の充足性を判断枠組みとする。また、前科がある場合には刑法56条1項、57条に基づき累犯加重を行う。
重要事実
被告人Aおよび被告人Bは、第一審において臨時物資需給調整法違反および詐欺罪の事実で起訴された。原審では有罪判決が下されていたが、上告審の継続中に、昭和27年政令第117号大赦令が施行された。被告人Bには累犯の対象となる前科が存在していた。判決文からは詐欺の具体的な態様や欺罔行為の詳細については不明であるが、詐欺罪の事案として審理が進められたものである。
あてはめ
臨時物資需給調整法違反の点については、大赦令により大赦があったため、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言い渡しをなすべきである。一方で、詐欺の事実については大赦の影響を受けない。被告人AおよびBの所為は刑法246条1項、60条の共同正犯に該当すると認められる。被告人Bについては累犯に係る前科があるため、刑法56条1項、57条により法定の加重を行うことが正当であると判断される。
結論
臨時物資需給調整法違反については免訴とし、詐欺罪については被告人AおよびBをそれぞれ懲役8月に処する。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(れ)118 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令が公布・施行された場合、大赦の対象となった公訴事実については刑事訴訟法に基づき免訴の言渡しをすべきである。一方、大赦の対象外である他の罪数については、確定した事実に基づき刑を科すのが相当である。 第1 事案の概要:被告人は臨時物資需給調整法違反および刑法246条1項(詐欺罪)の罪に問われ、原…
手続法上、上告審において大赦があった場合には職権により免訴を言い渡すべきことを示す実務上の先例である。また、複数の罪が併合罪等の関係にある場合でも、大赦の対象とならない罪については別途実体判決を下し、累犯加重等の刑罰規定を適用すべきことを確認している。
事件番号: 昭和26(あ)1662 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象とならない他の罪については、適法に確定した事実に基づき刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、共謀または単独でモビール油および軽油を不法に譲受・譲渡したとして、臨時物資需給調整法違反等…
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…
事件番号: 昭和27(あ)606 / 裁判年月日: 昭和27年12月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石…
事件番号: 昭和27(あ)1528 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】数個の罪が併合罪の関係にある場合において、その一部の罪についてのみ大赦があったときは、大赦の対象となった罪について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告会社は、臨時物資需給調整法および石油製品配給規則に違反する複数の罪(別紙一覧表記載の1〜42の…