判旨
公判廷において傍聴人が大声を発し審理不能となった場合、裁判官が傍聴人全員に退廷を命じる訴訟指揮は適法であり、憲法違反にはあたらない。また、被告人の言語能力を考慮して日本語を使用させる判断も、適正な手続の一環として認められる。
問題の所在(論点)
法廷での騒乱を理由とする傍聴人全員の退廷命令、および被告人に対する日本語使用の指示が、裁判の公開原則や被告人の権利を侵害し、違憲または重大な違法を構成するか。
規範
裁判所法71条に基づく法廷警察権の行使は、審理の妨害を排除し、適正かつ円滑な訴訟進行を確保するために認められる。傍聴人の言動により審理が不能となった場合には、その具体的状況に鑑み、必要かつ相当な範囲で傍聴人の退廷を命じることができる。
重要事実
暴行傷害被告事件の原審公判廷において、傍聴人が一斉に大声を発した。この騒乱状態により審理の継続が不可能となったため、担当裁判官は法廷警察権を行使し、傍聴人全員に対して退廷を命じた。また、朝鮮籍の被告人に対し、十分な調査に基づかず日本語を使用させようとしたことが適正手続に反するとして、特別抗告がなされた事案である。
あてはめ
傍聴人が大声を発して審理不能に陥ったという事実は、法廷の秩序が著しく乱されたことを意味する。このような状況下で円滑な審理を回復するためには、騒乱の主体である傍聴人を一律に排除する措置も、訴訟指揮として必要最小限の合理的な判断といえる。また、日本語使用の是非についても、裁判官の合理的な裁量の範囲内に属する訴訟手続上の問題にすぎない。
結論
本件の退廷命令および訴訟指揮は、単なる訴訟手続上の問題であって、憲法違反や特別抗告の理由となる重大な法令違反には当たらないため、抗告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(し)33 / 裁判年月日: 昭和29年6月30日 / 結論: 棄却
本件特別抗告理由は、原決定の違憲を主張するけれども、その実質は申立人にかかる傷害被告事件の原審公判廷において、傍聴人が大声を発し審理不能となつたことを理由として傍聴人全員に退廷を命じた裁判官の起訴指揮は違法であると主張し、また、被告人が朝鮮人であるから充分の資料に基いて日本語を使用せしむべきか否かを判断すべきに拘らず、…
法廷警察権に基づく一括退廷命令の適法性を肯定した事例として活用できる。特に、裁判の公開(憲法82条)の例外として、法廷の秩序維持が優先される具体的場面を論証する際の根拠となる。ただし、本決定は手続違反の主張を排斥する形式をとっている点に留意が必要である。
事件番号: 昭和27(し)34 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の対象となる事由が存在するか否かは、原審において弁護人が異議を述べ、裁判所がこれに対し却下の決定をなしたという事実の有無に照らして判断されるべきであり、それらの事実が認められない場合には、特別抗告は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:暴力行為等処罰に関する法律違反等に問われた被告人…
事件番号: 昭和28(し)76 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
論旨後段は、憲法の保障する公開裁判の原則に反すると主張するけれども、所論裁判長の命令は、要するに法廷における被告人、傍聴人に対して拍手等法廷秩序の妨害となるがごとき所為をなさざるよう予め注意を喚起するの趣旨に出でたもので、もとより当然の事理に属するところであつて、被告人らが右の命令に反する所為をしないかぎり、その在廷を…
事件番号: 昭和24新(つ)5 / 裁判年月日: 昭和24年9月7日 / 結論: 棄却
公判期日において刑訴法第一四六條により証言を拒んだ証人並びに供述をした証人の檢察官に対する各供述録取書及び被告人の司法警察職員に対する供述録取書を、檢察官が証拠として提出したのに対して、弁護人から証人の右供述録取書は同法第三二一條第一項第二号に定める要件を備えていないものであり、被告人の右供述録取書は同法第三二二條によ…
事件番号: 昭和33(し)12 / 裁判年月日: 昭和33年11月24日 / 結論: 棄却
一 原審における代理人または弁護人および被告人の法定代理人または保佐人に該当しない被告人の父からの控訴申立は不適法である。 二 第一審裁判所は、控訴の申立が法令上の方式に違反していることを理由として右申立を棄却することはできない。