判旨
公判調書において開廷場所の記載が必要なのは刑事訴訟規則44条1項3号が規定する「公判期日外」の証人尋問等に限定され、通常の公判期日における場所の記載欠如は憲法の法廷公開原則に直ちに反しない。
問題の所在(論点)
公判調書において開廷場所の記載がないことが、刑事訴訟規則上の記載事項の不備、ひいては憲法82条が定める法廷公開原則の違反を構成するか。
規範
公判調書における開廷場所の記載は、刑事訴訟規則44条1項3号に規定される場合にのみ必要的記載事項となる。これ以外の通常の公判手続においては、場所の記載がなくても直ちに手続の適法性や憲法82条の法廷公開原則に抵触するものではない。
重要事実
被告人が、原審第2回公判調書に公判が法廷で開かれたことの記載がないことを指摘し、法廷以外の場所(第2刑事部)で公判が開かれたと解すべきであり、憲法の法廷公開の条規に反すると主張して上告した事案である。
あてはめ
刑事訴訟規則44条1項3号は、公判期日外における証人尋問等の場合に場所の記載を求めているが、本件のような通常の公判期日の調書については場所の記載を必要的記載事項としていない。したがって、調書に場所の記載がないことをもって、直ちに非公開の場所で裁判が行われたと解することはできず、法廷公開原則に反するとの前提も欠いていると解される。
結論
本件公判調書に場所の記載がないことは刑事訴訟法405条の上告理由に当たらず、法廷公開の原則にも反しない。
実務上の射程
刑事訴訟法上の公判調書の記載事項の限界を示すものである。実務上、規則に明示された必要的記載事項以外の欠落は、直ちに公判手続の無効や憲法違反に結びつくものではないことを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和28(あ)5187 / 裁判年月日: 昭和29年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴状の朗読は公判調書の必要的記載事項ではなく、その記載がないからといって直ちに朗読の事実を否定することはできない。 第1 事案の概要:被告人が、起訴状の朗読が行われなかったとして法令違反を主張し上告した。公判調書には起訴状朗読に関する記載が欠けていた。 第2 問題の所在(論点):刑事訴訟法291…
事件番号: 昭和29(あ)3062 / 裁判年月日: 昭和32年2月20日 / 結論: 棄却
原審公判調書に公開法廷において開廷された旨の記載がないから公判が公開法廷においてなされたか否か確認することができないとして、憲法八二条違反を主張するが、裁判が公開法廷においてなされたことは刑訴規則四四条により公判調書の必要記載事項とされていないのであるから、公判調書にその点の記載がないからといつて公開されなかつたという…