原審公判調書に公開法廷において開廷された旨の記載がないから公判が公開法廷においてなされたか否か確認することができないとして、憲法八二条違反を主張するが、裁判が公開法廷においてなされたことは刑訴規則四四条により公判調書の必要記載事項とされていないのであるから、公判調書にその点の記載がないからといつて公開されなかつたということはできない。むしろ同条八号の「公開を禁じたこと及びその理由」の記載がない以上公開されたものと推定すべきである。
公判調書に「公開を禁じたこと及びその理由」の記載のない場合と裁判公開の推定
刑訴規則44条,憲法82条
判旨
裁判が公開法廷で行われたことは公判調書の必要記載事項ではないため、その記載がないことをもって憲法82条の対審公開原則に反するとはいえない。公判調書に公開停止の記載がない限り、当該手続は公開されたものと推定される。
問題の所在(論点)
公判調書に「公開法廷で開廷した」旨の記載がないことが、憲法82条の公開原則に違反し、上告理由となるか。
規範
公判調書の記載事項は刑事訴訟規則44条により定められており、裁判が公開法廷においてなされたこと自体は必要記載事項とされていない。そのため、同条8号が定める「公開を禁じたこと及びその理由」の記載がない場合には、特段の事情がない限り、公判は適法に公開されたものと推定される。
重要事実
被告人の弁護人は、原審の公判調書において「公開法廷で開廷された」旨の明示的な記載がないことを理由に、裁判の公開を定めた憲法82条に違反すると主張して上告した。判決文からは具体的な事件内容の詳細は不明であるが、公判手続の適法性が争点となった事案である。
あてはめ
刑事訴訟規則44条は、公判調書に記載すべき事項を列挙しているが、開廷が公開で行われたこと自体を記載することは要求していない。本件の公判調書を確認すると、同条8号が規定する「公開を禁じたこと及びその理由」の記載が存しない。この事実に照らせば、当該公判は公開を制限する事由なく適法に行われたものと評価すべきであり、記載の欠如をもって非公開であったと断ずることはできない。したがって、憲法違反の前提を欠く。
結論
公判調書に公開の旨の記載がなくとも、公開禁止の記載がない以上、公開原則に反する違法があるとはいえない。上告棄却。
実務上の射程
刑事手続における「訴訟手続の法令違反」を主張する際の公判調書の証拠力の限界を示すものである。答案上は、憲法82条違反を主張する場面での反論として、規則44条に基づき「非公開の記載がない限り公開と推定される」という構成で使用する。
事件番号: 昭和23(れ)1358 / 裁判年月日: 昭和24年2月24日 / 結論: 棄却
公判調書に公開を禁じた旨の記載がない限り、公判における訴訟手続は、公開して行われたものと認めるのが相當であつて、特に公開した旨を明記しなくても憲法違反とならないことは、既に最高裁判所の判例として示しているところである。
事件番号: 昭和25(あ)872 / 裁判年月日: 昭和27年6月6日 / 結論: 棄却
刑訴三九二条一項にいわゆる調査を公開の法廷で為すべきものとした規定は存しない。