公判調書に公開を禁じた旨の記載がない限り、公判における訴訟手続は、公開して行われたものと認めるのが相當であつて、特に公開した旨を明記しなくても憲法違反とならないことは、既に最高裁判所の判例として示しているところである。
公判公開を公判調書に記載の要否
憲法82條,舊刑訴法60條2項4號
判旨
公判調書に公開を禁じた旨の記載がない限り、公判における訴訟手続は公開して行われたものと認めるのが相当である。したがって、調書に公開した旨の明記がなくても、直ちに憲法第82条等の公開原則に違反することにはならない。
問題の所在(論点)
公判調書に「審理を公開した」旨の記載がない場合、憲法82条が定める対審の公開原則に違反し、訴訟手続が違法となるか。
規範
訴訟手続の「公開を禁じたとき」はその旨および理由を公判調書に記載しなければならないが(旧刑訴法60条2項4号)、手続を「公開した旨」を特に記載すべき規定はない。したがって、公判調書に公開を禁止した旨の記載がない限り、当該手続は公開して行われたものと事実上推定され、公開の旨の記載がなくとも適法な手続として認められる。
重要事実
被告人の控訴審における第1回および第2回公判調書において、審判が公開された旨の記載が欠けていた。弁護人は、公開の記載がない以上、当該公判手続は公開されずに行われたものであり、対審の公開を定める憲法および刑事訴訟法に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件の公判調書を精査するに、訴訟手続の公開を禁じた旨およびその理由についての記載は存在しない。旧刑事訴訟法は公開を禁止した場合の記載義務を課しているにとどまり、公開して行われた場合の記載までは要求していない。そうであれば、特段の禁止の記載がない本件においては、公判は適法に公開して行われたものと認めるのが相当である。公開の事実を明記していないからといって、非公開で行われたと断ずることはできない。
結論
公判調書に公開の旨の記載がないことをもって、公開原則に反する違法があるとはいえない。上告棄却。
実務上の射程
裁判の公開原則(憲法82条)の充足を確認する際、公判調書の記載が「沈黙」している場合の解釈指針となる。実務上は、調書の適式性を争う場面において、記載の欠落が直ちに手続の違憲・違法に直結しないことを示す根拠として活用できる。ただし、現行法下でも同様の推定が働くが、手続の透明性確保の観点からは可能な限り明記されるべきである。
事件番号: 昭和24(れ)3151 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
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