判旨
共同審理を受けていない単なる共犯者の供述は、共犯者であることのみをもって当然に独立の証拠能力を欠くものではなく、他の補強証拠とあわせて有罪の基礎とすることができる。
問題の所在(論点)
共同審理を受けていない共犯者の供述に、独立の証拠能力が認められるか。また、共犯者の供述を証拠として有罪を認定することが許されるか。
規範
共同審理を受けていない共犯者の供述については、その者が共犯関係にあるという一事をもって、直ちに証拠能力が否定されるものではない。かかる供述は独立の証拠能力を有し、適法な証拠調べを経ることで有罪判決の基礎とすることが可能である。また、自白の補強証拠が必要な場合においても、当該共犯者の供述以外の補強証拠が存在すれば、憲法・刑事訴訟法上の要請は充たされる。
重要事実
被告人の刑事事件において、共犯者とされる人物Aが証言を行った。第一審判決は、この共犯者Aの証言およびその他の補強証拠を総合して被告人の有罪を認定した。これに対し、被告人側は、共犯者の供述は独立の証拠能力を欠くものであり、それを証拠として採用したことは憲法違反であるとして上告した。
あてはめ
本件において、証人として供述したAは、被告人と共同審理を受けていない単なる共犯者である。判例の趣旨に照らせば、Aが共犯者であるからといって、その供述が当然に証拠能力を欠くことにはならない。さらに、第一審判決はAの証言のみに依拠したわけではなく、他の補強証拠も併せて挙げて事実認定を行っている。したがって、証拠の採否および事実認定の手続に憲法違反の事由は認められない。
結論
共同審理を受けていない共犯者の供述には独立の証拠能力が認められるため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力に関する基本判例である。答案上は、伝聞法則(320条1項)との関係で、共犯者の公判外供述を証拠とする際の「証人として尋問し、反対尋問の機会を保障する必要性」を論じる前提として、共犯者に証言能力・証拠能力が認められることを示す際に活用する。自白の補強証拠(319条2項)の議論とは峻別して論述すべきである。
事件番号: 昭和26(あ)1707 / 裁判年月日: 昭和27年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の供述は、自己の犯罪事実を認める被告人の自白に対する補強証拠になり得る。 第1 事案の概要:被告人Dを含む複数の被告人が関与した刑事事件において、被告人Dの自白を裏付けるための補強証拠として、共犯関係にある相被告人の供述が用いられた。これに対し、弁護側は共犯者の供述を補強証拠とすることは憲法…