判旨
控訴審判決が、第一審判決の法令適用の誤りを理由に破棄自判する場合において、第一審判決が判示する事実関係をそのまま引用することは適法である。
問題の所在(論点)
控訴審が第一審判決の法令適用を誤りとして破棄自判する場合に、事実摘示について第一審判決の記載を引用することが許されるか(刑事訴訟法上の事実摘示の要否と方法)。
規範
控訴審判決において、第一審判決の法令適用の誤りを理由に破棄自判する場合、改めて事実を詳細に摘示し直す必要はなく、第一審判決の事実摘示を引用して自らの判決の基礎とすることは違法ではない。
重要事実
被告人両名に対し、第一審が事実を認定した上で法令を適用したが、第二審(控訴審)は第一審の法令適用に誤りがあるとして破棄自判を行った。その際、控訴審は事実の摘示について、第一審判決が認定した事実をそのまま引用する手法を用いた。これに対し、弁護人は、第一審判決を破棄しながらその事実摘示を引用することは違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、第二審判決は法令適用の誤りを理由に第一審を破棄しているが、事実関係の認定自体については第一審の判断を維持している。このような場合、判決書の簡潔性を図る観点からも、第一審が摘示した事実を援用・引用することは、判決として必要な事実の摘示を欠くものとはいえず、手続上の違法は認められない。
結論
控訴審判決が第一審の事実摘示を引用することは適法であり、本件各上告は棄却される。
実務上の射程
破棄自判時における事実摘示の簡略化手法を認めた実務上の先例である。答案上は、控訴審の判決構成の適法性が争われる場面で、判決書の理由不備(刑訴法378条4号)や手続違背を否定する論拠として使用できる。ただし、事実認定自体を破棄する場合には、当然ながら別途適切な事実摘示が必要となる点に留意すべきである。
事件番号: 昭和24新(れ)358 / 裁判年月日: 昭和27年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において、第一審判決の事実認定をそのまま引用しつつ法律の適用のみを是正して自判する場合、判決書に改めて事実認定の証拠を掲げる必要はない。 第1 事案の概要:被告人両名が、共謀の上でパンオピンおよびモヒ液を所持したとして、第一審判決は麻薬取締法(当時)4条3号等を適用した。これに対し、被告人側…