控訴審が第一審判決の法命の適用に誤りありとしてこれを破棄自判するに当り、第一審判決の認定した事実に対し法令の適用を示す旨判示した場合に於ては控訴審は第一審判決が確定した事実に対し法令を適用したものと解するのを相当とする。
控訴審が第一審判決の法令の適用に誤りありとして破棄自判した場合と犯罪事実の確定
刑訴法380条,刑訴法397条,刑訴法400条
判旨
控訴審において、第一審判決の事実認定に違法がないと判断された場合、第一審判決を法令適用の誤りを理由に破棄した上で、その認定事実を基礎として自判することは適法である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上、第一審判決が法令適用の誤りを理由に全部破棄された場合、控訴審が第一審判決の認定した事実をそのまま援用して自判(判決の言渡し)をすることが許されるか。
規範
控訴審が第一審判決に法令適用の誤りがあるとしてこれを破棄する場合、第一審判決の事実認定に違法な点がないと判断される限りにおいて、第一審で適法に確定された犯罪事実を基礎として法令を適用し、刑の言渡しを行うことができる。
重要事実
被告人が第一審で有罪判決を受けた後、控訴審において検事および弁護人が控訴を提起した。原審(控訴審)は、第一審の事実認定自体には違法がないと判断したが、その事実に対する法令の適用に誤りがあると考え、第一審判決を破棄した。その上で、原審は新たな事実取調べを介さず、第一審が認定した事実をそのまま基礎として法令を適用し、判決を言い渡した。
あてはめ
原審は、第一審判決の事実認定に何ら違法の点がないと判断している。この場合、犯罪事実は第一審において適法に確定されたものと評価できる。したがって、控訴審が破棄自判を行うにあたり、改めて事実認定をやり直すことなく、第一審の認定事実を基礎として法令の適用を行うことは、適正な訴訟手続として正当化される。
結論
第一審判決を破棄した上で、その認定事実を基礎として法令を適用した原判決に違法はなく、正当である。
実務上の射程
控訴審の自判(刑訴法400条但書)において、第一審の事実認定をどの程度活用できるかという実務上の限界を示す。事実認定に争いがない場合の効率的な裁判運営を肯定する判例として位置づけられるが、答案上は「事実認定に違法がないこと」という前提条件に留意する必要がある。
事件番号: 昭和27(あ)4223 / 裁判年月日: 昭和31年7月18日 / 結論: 棄却
一 麻薬取締法(昭和二三年法律第一二三号)第一四条、第五九条の規程は憲法第三八条第一項に違反しない。 二 第一審判決が懲役刑の執行猶予を言い渡した場合に、控訴裁判所が何ら事実の取調をしないで、第一審判決を量刑不当として破棄し、自ら控訴記録および第一審で取り調べた証拠のみによつて、懲役刑(実刑)の言渡をしても、刑訴第四〇…