判旨
起訴状に記載のない事実について審判を行うことは、刑事訴訟法の規定に反する違法なものとなるが、判決が証拠に基づき適法に認定した事実の範囲内であれば、不告不理の原則に反しない。
問題の所在(論点)
裁判所が判決において認定した事実が、起訴状に記載された訴因の範囲を逸脱し、起訴のない事実を審判した違法(刑事訴訟法上の不告不理の原則違反)に当たるか。
規範
裁判所は、検察官の起訴した事実(訴因)に拘束され、起訴のない事実について審判をすることはできない(不告不理の原則)。判決における事実認定が、起訴状に記載された事実の同一性を損なわず、かつ証拠に基づき適正に行われている限りにおいて、起訴のない事実を審判した違法は認められない。
重要事実
被告人が刑事事件で起訴され、第一審判決において有罪判決を受けた。弁護人は、第一審判決が起訴状に記載のない事実について審判を行ったものであると主張して控訴し、原審(控訴審)もこれを排斥した。これに対し、弁護人が憲法違反および事実誤認、法令違反(不告不理の原則違反等)を理由に上告した事案である。
あてはめ
最高裁判所は、第一審判決が掲げた証拠を精査した結果、当該証拠によって第一審判決が摘示した事実を十分に認定することができると判断した。また、判決内容を検討しても、弁護人が主張するように「起訴のない事実につき審判をした違法」を認めることはできないとした。原判決が第一審の事実認定を正当とした判断には誤りがないと解される。
結論
本件において起訴のない事実につき審判をした違法は認められない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法における不告不理の原則を確認した判例である。答案上は、訴因変更の要否や裁判所の審判範囲が問題となる場面で、裁判所の認定事実が訴因の枠組みから逸脱していないかを検討する際の基礎的な論理として用いることができる。
事件番号: 昭和26(あ)4194 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告について、事実誤認や量刑不当の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。また、違憲の主張についても、先例の趣旨に照らし、憲法違反は認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その主張内容は事実誤認および量刑不当であった。また、弁護人からも憲法違反を理由とする上告がなさ…