判旨
不法逮捕または不法抑留があったと認められない場合には、それに基づく証拠の証拠能力や手続の憲法違反を主張する前提を欠く。また、供述調書について第一審で同意がある場合は、特段の事情がない限り証拠能力が認められる。
問題の所在(論点)
不法な身体拘束があったと主張される状況下で作成された供述調書の証拠能力、および不法拘束を前提とする憲法違反の主張の当否が問題となった。
規範
刑事訴訟法上の適正手続が問題となる事案において、前提となる不当な身体拘束等の事実が認められない場合には、憲法違反の主張は成立しない。また、供述証拠に関しては、当事者が証拠とすることに同意(刑訴法326条)している場合には、証拠能力が付与される。
重要事実
被告人の弁護人は、本件において不法逮捕および不法抑留の事実が存在し、それにより作成された供述調書等を用いることは憲法に違反すると主張して上告した。しかし、記録上、指摘されたような不法逮捕・不法抑留の事実は認められなかった。また、問題とされた各供述調書については、第一審の公判廷において、被告人および弁護人が証拠とすることに同意していた。
あてはめ
最高裁は記録を精査した結果、弁護人が主張するような「不法逮捕」および「不法抑留」の事実自体を否定した。事実の不存在により、それを前提とする違憲の主張は論理的根拠を欠くこととなる。さらに、証拠能力の点については、第一審において被告人側が明示的に同意を与えていることから、手続的にも正当に証拠として採用されていると判断される。
結論
不法な身体拘束の事実が認められない以上、違憲の主張は採用できず、同意のある供述調書の証拠能力も否定されないため、上告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(あ)656 / 裁判年月日: 昭和28年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、裁判所の組織および構成が不公平または偏頗(へんぱ)でない裁判所を指し、裁判の内容や手続が当事者から見て不公平に思われるものを指すものではない。 第1 事案の概要:被告人が、第一審判決に事実誤認、法令違反、または訴訟手続の違背があるとして上告した事案。弁…
違法収集証拠排除法則を論じる際、前提となる「違法の存在」が立証されない場合の帰結を示す事案である。また、刑訴法326条の同意がある場合の証拠能力の安定性を確認する際にも参照しうるが、判決文が極めて簡潔であるため、射程は事実認定の範囲に留まる可能性がある。
事件番号: 昭和28(あ)1212 / 裁判年月日: 昭和30年1月11日 / 結論: 棄却
論旨は、所論業者と接待婦との間に雇用関係があるとした原判決の判断を不当とするのであるが、原判決の判断の正当であることは、さきに当裁判所が職業安定法五条の雇用関係につき判示したところに徴し明らかである(昭和二七年(あ)三六二六号同二九年三月一一日第一小法廷判決参照)。従つて、原判決が雇用関係を認めたことの違法を前提とする…
事件番号: 昭和27(あ)6649 / 裁判年月日: 昭和30年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】労働基準法6条の中間搾取の禁止、および職業安定法32条(当時)の有料職業紹介の禁止規定は、憲法上の適正手続や自由権に反するものではなく合憲である。また、起訴状において訴因が特定されている限り、訴訟手続上の瑕疵は認められない。 第1 事案の概要:被告人は、有料職業紹介事業の許可を得ることなく職業紹介…